『産婦人科専門医が教えるはじめての性教育』
仲栄美子
自由国民社 2021年12月3日
「性教育は、生まれた瞬間から必要です」
小中高生2万人に講演し、多くの質問に答えてきた経験のある産婦人科専門医が、40の疑問に丁寧に答える。
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・ひとは生きている限り、姓を切り捨てて生きることはできない。性教育は、まずは親世代がしっかりとした知識を持ち、子どもに伝えることが大切。
・自分の体に興味を持つことは大切なこと。自分の体に興味や関心のない人は、決して自分の体を大切にできないから。子どもが家庭で投げかけてくる性についての質問には逃げずに向き合っていただきたい。
・性についてのことがらに限らず、人の噂やネットなど、自分が目にする情報には常に疑問を持ち、信ずるに値するものかどうか、十分注意することが大切。
・思春期に多い悩みは、肩こり、冷え性、ニキビ予防、身長を伸ばしたいなど。それらのどのテーマにおいても、規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動が大切。
・感染症の怖さは、予防接種がなかった時代も予防接種がある現代も変わってはいない。予防接種のある感染症はきちんと予防接種をしていただきたい。まずは風邪などを含む感染症にかからないようにすることをもう少し真剣に考えて。
・月経痛の上手な乗り切り方は、
身体を冷やさないこと。
普段から適度な運動と規則正しい生活を心がけ、偏りのない食生活をすること。
好きなことをしてリラックスすること
痛み止めなどの薬を上手に使うこと
・将来赤ちゃんが欲しいと思うのであれば、結婚するしないは別として、人生の中にしっかり妊娠出産計画を組み込んでほしい。
・赤ちゃんを産んで育てるには、年齢だけではなく、経済的、人的環境が整っているかの問題も大きい。その点も踏まえて適齢期を考えて。
・月経が終わる年齢と妊娠しにくくなる年齢にはギャップがある。妊娠は何歳から何歳まで可能なのかという情報は、若いうちに伝えたい情報のひとつ。
・女の子は小さい時から婦人科医のかかりつけ医を持つと安心。身体の調子だけでなく、胸の内まで話せるようなお医者さんを探そう。
・結婚するのか、結婚するなら入籍するのかしないのか、子どもが欲しいか欲しくないか、妊娠するために医療の力を借りる必要があるならどこまで借りるか、考えは個人によって異なる。そういったことにパートナーとしっかりと向き合い、自分たちがどうしたいかを話し合うことが大切。
・性的マイノリティの人を理解できるかできないか、距離を取るか取らないか、どう受け止めるかもまた、人それぞれの考え方であり「個性」。
・性感染症は誰でも感染する可能性があるが、きちんと知れば予防して、感染してしまったかもと思った時に対応できるようになる。
・子宮頸がんは性感染症、性行為の経験があれば罹患する可能性がある。予防ワクチンを受けること、性行為を経験したらがん検診を受けること、性行為の時は最初からコンドームを着けること、この3点は親から伝えるべきことのひとつ。
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我が家にもふたり、子どもがいるので、性教育に関する本を見かけたら読んでみるようにしているが、この本は読み終えてから既読と気づいた。
全編を通してほぼ口語のようなわかりやすい文章で、盛り込まれている情報も新しく、具体的でとてもわかりやすい。性教育について学ぶ入門書としては申し分ないと思う(内容と読んだ事実を今度こそ忘れないためにも記録しておこう)。
性教育については、私が子どもの頃にも増して学校での取り扱いは曖昧なものになっているらしく、ひとまずは親主導で行うしかないようだが、こうして書籍などを読めば、性に関する知識や情報はどんどん更新されているのがわかり、とても心強く感じる。
また、この本のほか、
宮川三代子
『生理だいじょうぶブック』宋美玄
など、性についての書籍を何冊か読んでいると、現在では生理や生理に伴う痛みや不調、煩わしさなどは、
「我慢するもの」
ではなく、
・QOLを下げないため
・子宮筋腫、子宮内膜症、子宮線筋症、そして不妊症など、将来的なリスクを予防するため
「医学的アプローチでコントロールするもの」
という認識に変わっている点が印象的だと感じる。
生理痛は痛み止めを使えば上手にコントロールできるし、妊娠を望まない期間は低容量ピルなどを使って生理を止めて、子宮や卵巣を休めることも大切だという。
娘や息子にも自分の身体や性について関心を持ち、正しいう知識をもとに、自分のことも、周囲の人のことも大切にすることを学んでほしい。


