『夜空に浮かぶ欠けた月たち』

 窪美澄

 KADOKAWA 2023411


「きれいな形でなくてもいい。 きっと誰かが照らしてくれる。」


東京の片隅にある小さな喫茶店と、一軒家のようなメンタルクリニックを中心に展開されるお話たち。



『人生ってね、何度でも、どこからでも、もう一回始められる』

-p. 145


「人が心を病んでしまうことは珍しい話ではない。それはいつでも、誰にでも、起こりうることなのだ。」

-p. 180



「人は自分の内側に入ったまま、外に出られなくなってしまうときがある。」


「けれど、時期が来れば人は自分の殻をそっと壊して外に出てくる。」

-p. 176



いつも思っていることなのだが、生涯を通して心身ともに健康でいられる人はいない。


どんな人でも時にはひどく体調を崩すこともあるだろうし、心のバランスを崩してしまうこともあるだろうし、その時置かれた状況によって、もともとある特性による困りごとが強く出てしまうこともあると思う。


そんな時は周囲に助けを求めればよいと思うし、その時それほど「困っていない」周囲の人が気軽に手を差し伸べたり、専門家の支援につなげたりそんな人間関係があるとよい。


利害関係というのでもなく、「ガッチリ離すまじ」でも「ガップリ四つに組んで」でもなく、なんとなくゆるやかにつながり合える、分かち合えるような関係の中で、ちょっと立ち止まって心と身体を安めて、力を得てまた歩き出せたら素敵だ。


それが一部の限られた、「恵まれた」層の幸運なひとたちだけに成立する話ではなくて、全てのひとがそうであったらと願わずにいられない、そんな一冊。