『ミナトホテルの裏庭には』

 寺地はるな

 ポプラ社 2016218


「わけあり」のお客だけが宿泊するミナトホテル、主人公は祖父に頼まれ裏庭の鍵を探すことになる。



「その程度のことでそんなに落ち込むのはおかしいとか、いつまでも引きずるのはおかしいとか、そうやって他人のつらさの度合いを他人が決めることこそおかしい、なんの権利があって他人のつらさを判定しているのだ、君はあれか、つらさ判定員か、そういう職業があるのか、ないよな、えらそうに『たいしたことじゃない』とか、言ってんじゃねえよ」

-p. 124


「誰にも頼らずやっていけることは、たぶんそんなに立派なことではないのだ。だって誰かに頼られると、嬉しい。誰にも頼られることなく生きていくのは、むなしい。誰にも頼られぬ者は、誰かに頼ることができない。」

-pp. 171-172



「疲れたら休む」生き物として当たり前のことなのに、実践できない人の方が多いのではないだろうか。


夫と知り合った頃、「疲れる前に休憩」するよう言われ、ビックリした経験がある。当時の私は、疲れても辛くても休まなかったし、ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、生きるとはそういうものだと思っていたから。


その後二児の母となっても、やはりというか、案の定というか、ますます休めない日々を送っていたが、年々無理がきかなくなり、ある年の冬、を長引く風邪からの肺炎喘息になるに至ってようやく、


「病んでから休むでは手遅れ」


せめて


「疲れたら休まなくては」


と思い至った(だって全然回復しないんだもの)。



もちろん「疲れる前に休憩」できれば、体調を崩すことも、心のバランスを崩すこともなく、心身共に健康でいられる人が確実に増えると思う。


だから皆が「疲れる前に休憩」できるような社会のあり方、働き方が理想だし、本来の形なのかもしれないけれど、せめて自分は疲れた時は休むことにようと思う。「言うは易し行うは難し」だとはわかっていますが、できれば皆さまもご一緒に


寺地先生、泣き腫らした顔を

「遮光器土偶」て。思わず検索してしまったわ。これから時々使おうかな。