『名探偵のままでいて』

 小西マサテル

 宝島社 2023121


日常の謎から犯罪捜査まで、孫娘と祖父が事件を解決。ちょっと斬新な安楽椅子探偵ミステリー。



「紡げば、すべてが物語

 世の中で起こるすべての出来事は、物語。

  作りごとだから美しい。」

-p. 254


「いつの時代も常人では考え付かないような醜い奸計を巡らせる人間は存在する。」

「幻視のほうが、よほど美しい光景なのかもしれなかった。」

-p. 329



孫と祖母で事件を解決する作品は読んだことがあるけれど、孫娘と祖父の組み合わせは初めて。ただ年齢的に私は自分の祖父より父を思い浮かべて読んだ。


全体的に「謎解きのための謎解き」「トリックのためのトリック」という感じが前に出過ぎているのではないかとか、各話あまり意外性がないところを物足りないとか感じる方もいるかも知れないが、(一話を除いては)推理する材料やヒントが読者にしっかりと提示されていて、たちと一緒に考えることができるところがフェアで楽しく、探偵学校か推理教室のよう。ラストの感じも好きだった。



またミステリー好き、ミステリーファンへのサービスのような描写が多く、読んでいて嬉しくなった。これから読まれる方の楽しみを奪うわけにはいかないので、明記は控えるが、特に「⭐︎⭐︎⭐︎」や「⭐︎⭐︎の⭐︎⭐︎⭐︎」なんて、文字面を見ただけで、おばはん心拍数&血圧が上がる上がる(スーパーの鮮魚売り場で「まだら」という表記を見ると、いつも「紐っ!」と思ってしまう程度にはミステリー好き。もちろん実際は「まだら=真鱈」)。


主人公たちのその後を思うと、どうしても切ない気持ちになってしまうが、この先が哀しみだけではないといいなと願う。


巻末に『このミステリーがすごい!』大賞選評も掲載されていて興味深いが、未読の作品が多かったので、薄目で斜め読み。これから読まれる方はご注意ください。


I read such an unique detective novel written by Konishi Masateru.  The leading character is an elementary school teacher.   She solves six mysteries with her grandfather who suffers from serious disease named dementia with Lewy bodies.  

It was fun to solve the puzzles with these unconventional pair of “directives” and also so fascinating to find homage to great classic mystery books.