ケン・フォレット No.1.25◇巨人たちの落日・中◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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英国、参戦ーーー様々な国が戦争の続行、和平交渉の為に動き出す。その中で大きな知らせが届く!





◇巨人たちの落日・中◇ -The Century Trilogy #1 Fall of Giants-

ケン・フォレット 戸田裕之 訳



とうとうイギリスはドイツに宣戦布告。ワルターとモードの関係は命がけの秘密となった。屋敷を追われたエセルは、ひとり母となる決心をし、ロンドンの工場で働く女たちと共に新たな闘いに身を投じる。軍に志願した弟のビリーは、苛酷を極める前線へ送られ、思いも寄らぬ人物と遭遇する。一方、ロシアをあとに、身分を偽ってアメリカ行きの船に乗ったレフは、生き延びるための大きな賭けに出るが……。



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1914年のロシア。グレゴーリイも戦場に赴くことになった。カテリーナとお腹の中の子どもを残すのは気が引けるが……相変わらずレフからは便りはなく、2人の関係にも変化が生じ、お金の為に結婚することになるが……



1914年のパリにフィッツは居た。軍人として実戦経験のない彼は連絡将校としてパリに派遣されたのしかし肝心の英国軍はパリ陥落の危険も高くなっているのに進軍には弱腰でいらいらさせられる。マルヌの戦い後、「戦場のメリークリスマス」の最中、フィッツはワルターと再会し、自分が父親になったことを知る。



1915年、英国。フィッツの子どもを身籠ったエセルはアバローウェンを追われ、ロンドンのイースト・エンドにいた。縫い物仕事は退屈だが同居人ミルドレッドとはうまく行っているし、時々は考えを同じにするレディ・モードとも交流出来る。しかし家族に会えないのは辛い。エセルはビリーに手紙を書く。



エセルの故郷、アバローウェンの炭鉱にはアメリカに行くのに騙されてカーディフで降ろされたレフが居る。なんとかしてアメリカに行って働き、兄のグレゴーリイに送金しないと……金を作る為、レフはカード博打と違法なタバコ売りに出る。結果、騙したヴィヤロフと顔を合わせ、アメリカにも渡れたがそこにとんでもない落とし穴が……



1916年夏。ビリーとトミーは年齢を偽り、軍に入隊する。行き先はフランス。後に「ソンムの戦い」と呼ばれる歴史的戦闘に身を投じ、そこで軍上層部の無能ぶりを目の当たりにする。しかもそこにはフィッツが上官として赴任していた。エセルと甥のロイドを思い出し、怒るビリーだがその戦闘で伯爵は大怪我をおう。



1916年秋。アバローウェンの男たちは次々と戦死し、ビリーの名前が死傷者名簿に載らないことがエセルの願いだ。ミルドレッドは独立を考え、再び伯爵が接近する。彼女が選んだのはーーー

一方、ワルターはアメリカ参戦を恐れ、和平交渉に動く中でもモードを思い続けている。しかし親はそれを許さない。迷った挙句、モードに手紙を書く、ウィルソン大統領補佐官デュアーに託す。



1917年、配置換えでサンクト・ペテルブルク改めてペトログラードへ戻ることになったグレゴーリイ。ペトログラードでの彼の仕事は政府やロマノフ王朝を守ることだ。……だがもし彼らが市民に銃を向けたら自分たちは? デモ隊は自分たちと同じロシア市民なのに! グレゴーリイはついに叛旗を翻し、警察を一網打尽にすると同時に無秩序の恐ろしさも垣間見る。新しい統率方法が必要だ。ーーーソヴィエト! その勢力は遂にロシア皇帝の廃位を実現させ、それは世界に届いたーーー



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「巨人たちの落日・中」です(・∀・)



英国が参戦を決め、ヨーロッパ全体が戦禍に巻き込まれます。出兵した者たち、残された者たち、机の上で情報と交渉を行き来させる者たち……全ての立場に身分の上下が有り、それゆえの葛藤や憤りや誇りが浮き彫りになります。「戦争反対!」「平和交渉を!」と分かっていてもあまりにも事態が大きくなり過ぎてもう「勝つか負けるか」のどれかしか有り得なくなる……まんまウクライナとロシアとガザとイスラエルかよorz



「ダウントン・アビー」でもそうでしたが、第一次世界大戦編のシーズン2は「女性たちの戦い」でも有りました。エセルもモードもそれぞれの立場から権利獲得、戦争終結を訴えます。フィッツの保身は相変わらずでしたがワルターに対してモード健気……! しかし恋敵のデュアーは勿論、モニカ嬢も根っから嫌な人には見えないので手強いです。特にデュアーは不運すぎるのでどこかで幸せになってほしい。



前回の大詰めはワルターとモードの秘密結婚でしたが今回はグレゴーリイとロシア革命です。つーかレフの便りをいつまでも待つなんて、なんてめっちゃ健気な兄貴……! カテリーナは強かですが、人間的器はグレゴーリイの方が良いもんな……自ら先頭に立ってソヴィエト樹立とニコライ2世退位を実現させたグレゴーリイですが、なんとなく彼の幸先は明るく無いのでは、とも思う。



ロシア革命とニコライ2世退位に動揺しているのは当然ながらロマノフ王朝皇女のエリザヴェータことビーです。しかも退位だけで終わらないので彼女の未来も明るくない。むしろ同じ未来を辿らないだけマシなのかもしれない。



始まった当初はクリスマスを祝う余裕すらあったのに3年経てば敵は鬼か悪魔か人でなし。いつのまにか泥沼化した状態に終止符を打つのは……



果たして主人公たちは生き残って、自分たちが守りたい大事なものを守り切れるのか。いざ、下巻へ(*^o^*)/!