色々なことが始まり、変わり、終わる中を飽くなき食欲が吸収するーーー
◇シュガータイム◇
小川洋子
わたしは奇妙な日記をつけ始めた――とめどない食欲に憑かれた女子学生のスタティックな日常、青春最後の日々を流れる透明な時間をデリケートに描く。
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奇妙な日記
小さな弟
サンシャイン・マーケット
夜
野球場
真夜中のパウンドケーキ
ガラス美術館
雨上がり
一人きりのランチ
スコアボードの向こう側
オーロラ
紙吹雪
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「シュガータイム」です(・∀・)
読むと決めたものの、約半年ぶりの小川洋子です。今回、初めての長編小説です。各章ごとに名前がついているので連作短編ぽくも有ります。ちょっと川上弘美さんっぽいですね。
しかし前作に引き続き、食べることに対する嫌悪、というか恐怖、いや畏怖を感じる点は対照的です。
どうして作者はこんなに食べることに関してネガティブなんだ……といささかげんなりしていたのですが、よくよく考えてみれば食べることというのは本来怖いことなんです。だってそれが自分の身体を作るんですよ? そもそもそれが人間に害しないという保証は1日では作れませんよね。もしそれが毒だったら……そう突き詰めてみると昨今流行りの料理✖️人間ドラマって結構大それた所業だし、それに時々神様、というのは理に適っているかも知れません。
この話は突如ーーーというか変調はあったかも知れないが気がつくことのないーーー過食症に陥った主人公かおる、低身長症の弟、航平、かおるの友人真由美とかおるの恋人なのか分からない微妙な場所にいる吉田さんの4人の青春という淡いの日々の物語です。
体調は全然悪くない、体重は増えないし、心に不安定も無い、でも食欲はものすごく日記をつけないと平静さを保てない。そんな中、隣で静かに一緒に眠りたい相手だった吉田さんが遠ざかっていく。
過食症、というか食べることは「大きく何かが変わる前兆」であり、「それを恐怖し、抵抗することの表れ」なのかも知れない、と思いました。かおるは真由美に過食症を打ち明け、その姿を見せます。吉田さんには打ち明けませんでした。航平には過食症のことは話しませんでしたが「本当にどんな風に食べたいのか」を披露します。3人全員に違う態度を見せるかおるの姿は「現在」「過去」「未来」を表しているように思えます。長編というには短い小説でしたがなかなか考えさせられました。
「シュガータイム」でした(・∀・)/
次はずっと手元に置いておきたかった本を読みます(*^o^*)/!