その男の人生、生き様、まさに「最後の大君」だったーーー………
◇ラスト・タイクーン◇ -The Love of the Last Tycoon-
スコット・フィッツジェラルド 大貫三郎 訳
貧しい育ちを乗り越え映画界で活躍する大プロデューサーの主人公がハリウッドを舞台に繰り広げる愛と友情、栄光と破局、そして死――未完の最高傑作と名高い、フィツジェラルドの遺作。
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《組合》による『白鯨落とし』を阻止するべく単身『白鯨』に乗り込んだ敦はいきなり芥川とぶつかります。それも太宰の計算だったのですが何も知らない敦は芥川を振り切り、『白鯨』の操縦権を握るフィッツジェラルドのところへ向かいますが、そこで彼の異能を目の当たりにすることに。
ーーーというのが9巻最初のあらすじでその章名は「最後の大君(ラスト・タイクーン」。そう、スコット・フィッツジェラルドの遺作です。9巻を読んで本書を読むと「何故《組合》最終決戦にこの題名を持ってきたか?」がよく分かります。
見るからにムカつく異能ですが←、まさにアメリカそのものを体現していますよね。お金かければ良いもの買えて良い体験が出来ます。映画も然り。
ハリウッドの大物プロデューサーというのはアメリカの夢そのものなんですね。ギャツビーも富の成功者なので同じようにアメリカの夢そのものなのですがある意味恋が2人の人生を変えてしまう、というか岐路変更を余儀なくさせる。
一言に言えばこの話はハリウッドの大物プロデューサーの恋、転落、そして死の話でした。心臓発作なんぞで天に召されなければ転落と死もノート記述では無く、語り手セシリアの手で第三者の目線できっとドラマチックに過去を振り返るように書かれたでしょう。
フィッツジェラルドの作品を読むと「過去を懐かしみたくな」ります。「昔は良かった」じゃないけど後になって知った「あの時あの人はこう思ったああ思っていた」を同じ時間軸で知ることが出来なかったことが哀しくなるというか。もう2度と戻れないと分かっているから……
もしかしたらギャツビーを超えたかも知れない作品。「最後の大君」がフィッツジェラルドの遺作になって、永遠にモンロー・スターは死ななくなりました。今のハリウッドは昔のハリウッドとは違うけど確かにアメリカの夢として古き良きものとして永遠の中の1つになったと言えるでしょう……
「ラスト・タイクーン」でした(・∀・)/
ウールリッチ短編集ラスト! 実は読破も近くて……(*^o^*)/