生と死、過去と現在、真実と幻想。その境は危うく脆い美しさが有るーーー
◇完璧な病室◇
小川洋子
弟はいつでも、この完璧な土曜日の記憶の中にいる―病に冒された弟と姉との時間を描く表題作、海燕新人文学賞受賞作「揚羽蝶が壊れる時」に、第二作品集「冷めない紅茶」を加えた四短篇。透きとおるほどに繊細な最初期の秀作。
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1.完璧な病室
2.揚羽蝶が壊れる時
3.冷めない紅茶
4.ダイヴィング・プール
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「完璧な病室」です(・∀・)
というわけで小川洋子です。川上弘美の文庫は一通り読んでしまう、このあとどうしよう、と考えた末に彼女に白羽の矢が立ちました。初めて名前を知ったのは映画「博士の愛した数式」でした。当時は良さが全然分かりませんでしたが(子どもだったし……)、今なら良さが分かるかも知れません。少なくとも本は。
本書はデビュー作の2を含めた4作。初期作品ですね。どの作品にも死の気配が有ります。最後の作品は孤児院が舞台ですがやはり死の気配があります。もう同じ場所に帰っても2度と戻れない、取り返しのつかない、飛び込みをこっそり見学することはもう出来ない、と分かってしまうところが残酷です。
小川洋子の描く死の気配はガラス細工のように繊細でとても美しいです。そこには何故か人間の良いところ、美しいところが露わに曝け出されているのです。
それに対して「食べる」ことは生の象徴で俗的、醜いことのように描かれています。作者はあまり食べることが好きじゃ無いんだろうか……嫌な思い出があるとか?
まだ初めてきちんと読んだので分からないことだらけです。文庫を全部読み終えた時はまた違うことを思うかも。
「完璧な病室」でした(・∀・)/
2023年最後の更新でした。お読みいただき、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします!(*^o^*)/