アダームが討伐されても、未だその魂は滅びない、地下阿房宮は拡大し続けるーーー物語が語りを終えるのはもう、すぐ!
◇アラビアの夜の種族 Ⅲ◇ -The Arabian Nightbeeds-
古川日出男
栄光の都に迫る敵軍に、エジプト部隊は恐慌を来し遁走した。『災厄の書』の譚りおろしはまにあうのか。奴隷アイユーブは毎夜、語り部の許に通い続ける。記憶と異界を交差しながら譚りつむがれる年代記。「暴虐の魔王が征伐される。だが地下阿房宮の夢はとどまらない―」。闇から生まれた物語は呪詛を胎み、術計は独走し、尋常ならざる事態が出来する! 書物はナポレオンの野望を打ち砕くのか?? 怒涛の物語、第三部完結篇。
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暴虐の魔王アダームは征伐された。稀代の魔術師ファラーによって、稀代の剣士サフィアーンを犠牲に、いや騙して。だがそれで事態は終わらなかった。アダームはサフィアーンの身体を借りたのだ。それにより、サフィアーンは蘇りーーー1つの身体に2人の魂が入った!
フランス軍の行進は止まらない、エジプト軍は遁走する。アイユーブの主人イスマーイール・ベイは『災厄の書』を読みたいと切望する。果たしてアイユーブはそれを渡す。イスマーイール・ベイが読み狂う間にもナポレオン軍はエジプト・カイロを踏み荒らし、その間にもズームルッドの語りは止まらない。ーーーエジプトに住むキリスト教徒の襲撃を受けてもーーー
ズームルッドは語る。森に敗れたファラーがアダームの魔術書を読み、それそのものに変貌する様を、アダームとサフィアーンの入れ替わりを。そして遂に両者は邂逅する。蛇のジンニーアは撃たれるのか、全ては大団円に収まるのか、『災厄の書』は果たして目的を果たすのか??
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「アラビアの夜の種族 Ⅲ」です(・∀・)
立場は違えど境遇が同じの剣士と魔術師の物語は思わぬ方向に! 奸計は誤算を産み、その誤算が運命の歯車を回す! 物語は二転三転留まることを知らず、読んでいる手が離れなーい! イスマーイール・ベイでなくてもこれは狂う。
というかサフィアーン、あーた詐欺師なのにそんな人が良くて良いのか……サフィアーンってちょっとアラジンみたいなところあるよね。
またしてもジュリアンお前かーーー!! またもこの現象によって現実と虚実の区別がつかなくなるところだった……なんて毒!
わたしたちもアイユーブと2001年に仕事場にいた翻訳者の計画に飲まれるところだった。
まさかのアイユーブ。3巻の最初らへんからもしかしたら……と思っていたけどやっぱり。しかしそれだけで終わらないのが古川ワールド in アラビア。確かに『災厄の書』は必要だった。正確にはそれを語りおろす過程は必要だった。そして語り手の役目は終わらない!
「アラビアの夜の種族」は本当に在る。ただ本の形をとっているとは限らない。人あるところ、本を求めるところ、語り手あるところに彼らは確かに存在するのだ。
すごい物読んだ……これをもっと拡大拡張させたのが「おおきな森」なんだな。今ならもっと理解出来るかも知れない。早く文庫化しないかなー。
「アラビアの夜の種族 Ⅲ」でした(・∀・)/
女の子は16歳になると……(*^o^*)/