フィリップ・K・ディック No.4◇いたずらの問題◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

偉大なるストレイター大佐の銅像に「いたずら」をした。それはある種の「革命」そして「還る」ことだったーーー






◇いたずらの問題◇ -The Man Who Japed-

フィリップ・K・ディック 大森望 訳



2114年、ストレイター大佐による道徳再生運動の結果、世界は小型ロボットに監視される管理社会となっていた。アレン・パーセルは調査代理店の経営者として成功を収めていたが、突然の衝動に駆られて大佐の銅像に「いたずら」してしまう。像の頭を切り取り、手に乗せて蹴ろうとする姿にしてしまったのだ。この事件を機に、アレンは管理社会から落伍していく…。ディストピア社会を戯画化した初期長篇。



☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆



2114年。世界は道徳と監視至上主義のモレク

社会になっていた。あらゆる場所に小型スパイ・ロボット"ジュブナイル"が出没し、反道徳行為が発覚した場合は集会で吊し上げにされるーーーそんな社会と世界だ。



道徳と教訓のエピソードをメディアに流す広告代理店を経営するアレンは北海道に友人を訪れた帰りーーーその間の記憶が欠落していることに気がつく。手がかりといえば赤ペンキと地球の芝、そして〈公園〉に行ったという事実。〈公園〉には今の社会を作ったストレイター大佐の銅像が有る。アレンはその銅像に異変が起こったことを知る。しかも選りに選ってその銅像にーーー「いたずら」をしてしまったのが自分だということも知るーーー



どうしてそんなことをしたくなったのか、理由は分からない。アレンは銅像のことを教えてくれた女、グレッチェンの手助けのもと、モレクに適応できない人たちが住むヘルス・リゾートに向かう。そこで彼は自分の心に潜んでいた反感と向き合う。が、同時にテレメディア局長の解任という危機も迫る。解任まであと1週間。アレンは全世界中継で社会を揺るがす「いたずら」を仕掛けるーーー!



☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆



「いたずらの問題」です(・∀・)



ディック18番のディストピア社会もの、それも現代社会と世界と重なるところの多い予言者的ディストピア社会SFです。ジュブナイルは街中にどっさり有る監視カメラだし、集会で不道徳が裁判にかけられるのは週刊誌で醜聞を騒ぎ立てるのと変わりませんよね。SF作家は時に予言者です。



本書はその監視社会に真っ向から逆らうような蛮行をやらかしてあっという間に追われる人になってしまう男の話です。まぁ、そうなってもヘルス・リゾートという外宇宙でのんびーりとした生活が送れます。……ってそれじゃあ問題解決にならないんだよ!と問題解決を放棄させる逃げ場を用意させるところにも恐怖……だからこそ首を絞める真綿を引き剥がそうと真っ正面から手をかける人間には敬意を表する。だからこそ最後のメイヴィスの言葉を言える人になりたい。



「いたずらの問題」でした(・∀・)/ 

なんてことのない日々、その中でも心に残ることがある←(*^o^*)/