ウィリアム・アイリッシュ No.6◇ニューヨーク・ブルース◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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罪の報いを受ける者、罪に立ち会ってしまった者、それぞれの運命!

 

 

 

 

 

◇ニューヨーク・ブルース◇

ウィリアム・アイリッシュ 村上博基 訳

 

 

戦後のわが国に紹介されたミステリ作家のなかで、もっとも広く歓迎されたサスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた待望の短編集。大都会のなかの人間の孤独、しのびよる死の影の戦慄、絶望と焦燥にさいなまれる犠牲者等、常に意表をつく技巧と主題の多様性に加えて、作者の独壇場ともいうべき哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンスは永遠に読者を魅了せずにはおかない強烈な磁力を秘めている。

 

 

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1.三時

 (Three O'Clock)

 ……妻が自分の留守中に男を連れ込んでいることを知ったスタップは家もろとも爆弾で殺してやろうと考える。爆弾は妻が買い物に行っている間に用意して午後3時に爆発する。が、何の因果か、そこに空き巣が忍び寄り、スタップは爆弾と一緒に閉じ込められてしまう!

 

 

2.自由の女神事件

 (Red Liberty)

 ……2級刑事のわたしは妻の耳の痛い忠告に従い、フェリーに乗って自由の女神像を見に行くことにした。道中、ものすごく太った男と出会し、少し話をする。帰りにその男の帽子を拾い届けるが彼は降りなくてはいけない場所に降りてこずそのまま消えてしまった……

 

 

3.命あるかぎり

 (For the Rest of Her Life)

 ……その男女はローマで出逢って惹かれ、ニューヨークで再会して結婚した。しかし夫マークには恐ろしい性癖が有った。妻リンダはギャレット青年にこのことを相談し、一緒に逃げようという話になったが……

 

 

4.死の接吻

 (Collared)

 ……厄介払いされる寸前のコール・ガール、ラスト・イヤーの男がある日、女を殺して帰って来た。証拠になるのは持ち帰ってしまった銃と口紅のついたシャツのカラー。ラスト・イヤーは遂に弱みを握るチャンスーーー寄りを戻すとかはどうでもいいーーーとばかりに男のカラーを持ち出し、燃やした証拠を復元しようとするが……

 

 

5.ニューヨーク・ブルース

 (New York Blues)

 ……その男は恐れていた。"訪問者"が必ずやここに来ることを。だからホテルに閉じこもるなり、一歩も外に出ないのだ。ところがある日知人から電話がかかり、そこから"訪問者"に居場所を探られるーーー

 

 

6.特別配達

 (Mamie 'n' Me)

 ……赤ん坊の営利誘拐が発生した。聞くところによるとその赤ん坊は特定の牛乳しか飲まないらしい。いつものように馬のマミーと牛乳配達に出かけたわたしはその界隈で高いサン・レイ牛乳を注文する珍しい家を見つける。が、その家はまさかのーーー

 

 

7.となりの死人

 (The Corpse Next Door)

 ……ハーランの家に配達される牛乳が盗まれる事件が発生した。腹が立ったハーランは仕掛けを施し、その犯人を現行犯で捕まえるが苛々させられていたハーランは勢い余ってその男を殺してしまう。男がアパートの住人とみたハーランは空室にその男の死体を寝かせるが……

 

 

8.ガムは知っていた

 (Stock With Murder)

 ……ホテルの掃除婦ミセス・オシェイの好物は冬緑油ガム。ただ彼女の場合は中毒に近い。だって仕事では禁じられているのに絶えず噛んでいるのだから。一方、その1つ下の階では殺人事件が起こり……

 

 

9.借り

 (I.O.U.--One Life)

 ……かつて2級刑事スタージェスの愛娘の命を救った男が現れた。ただ今度は警官殺しマレイ・フォーマンとして。彼はスタージェスに匿って欲しいと持ちかける。あの日の"借り"を返してくれ、とーーー

 

 

10.目覚めずして死なば

 (If I Should Die Befor I Wake)

 ……かつてのクラスメート、ミリーはある日ぼくの好きなフレーバーのキャンデーを舐めていた。聞くと「良い人に貰った」と言う。だがその後すぐ彼女は2度と学校に来なかった。時が流れて3年後、12歳になったぼくはクラスメートのジーニィがキャンデーを舐めているところを見つける。聞いてみると、あれ、この光景には既視感が……

 

 

11.さらばニューヨーク

 (Goodbye, New York)

 ……ガス自殺を図るところまで追い詰められたレイフは遂に殺人を犯してお金を手に入れてしまった。妻は逃げる度にあらゆる手を講じるが2人の後ろにはいつのまにか付き纏う影が……

 

 

12.ハミング・バード帰る

 (Humming Bird Comes)

 ……盲人ママ・アダムスの家に息子のベンが帰って来た。一旗あげて帰る、という約束だったがその一旗は血と犯罪と破壊に塗れていた。果たして彼が歌った鼻歌は先にラジオで言っていた、強盗犯がハミングした曲だった……

 

 

13.送って行くよ、キャスリーン

 (One Last Night)

 ……刑務所帰りのバークは昔の恋人キャスリーンに会いに行った。昔のように月に照らされて歩いたら、もう2度と会わないつもりだった。ところが昔歩いた近道で彼女が音もなく消えてしまい、後から惨たらしい死体になって見つかる。村の住人が殺気立つ中、バークから助けを求められた刑事ベイリーは「本能的な臆病者」を探し出す……

 

 

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「ニューヨーク・ブルース」です(・∀・)

 

 

遂に最終巻! 1巻を読んだのが6月だったのでほんと亀並みのスピードでしたorz 東京創元社verの他に早川書房ver、白亜書房verも有るので随時読んでいきます。調べたらそこにしか収録されていない短編があるんだもん!

 

 

6巻は何の因果か犯罪に立ち会ってしまった者、その報いを受けてしまった者が主人公の作品が多いように思えました。犯罪の起こし方、受け止め方、多種多様でニューヨークに生きる人間そのものです。

1とか7とか超皮肉過ぎる。3.4.8.12は女性が主人公ですがそれぞれ性格が違っていて、勿論結末も違っていて面白い。3とかもう死よりも地獄的ですね……

 

 

10はウールリッチには珍しい子ども主人公。ブラッドベリの時も思いましたがこの時代の子どもの言うことはまず信じず疑ってかかるべし、という信条でも有るのか? まぁ、悪い面しか無いってことは無いけど。

 

 

次回は長編に入り、少ししたらウールリッチに戻ります。いやー「幻の女」はいつになったら止めるでしょう。気長に待ってください!←

 

 

「ニューヨーク・ブルース」でした(・∀・)/

次は現代ミステリに戻りまーす(*^o^*)/