アーネスト・ヘミングウェイ No.1◇誰がために鐘は鳴る・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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任務は橋の爆破、決行まであと4日。あまりにも短いその4日間の初日にジョーダンは運命の恋に落ちるーーー

 

 

 

 

 

◇誰がために鐘は鳴る・上◇ -For Whom the Bell Tolls-

アーネスト・ヘミングウェイ 高見浩 訳

 

 

1930年代後半、スペイン内戦。共和国側の義勇兵であるアメリカ人ジョーダンは、山峡の橋の爆破を命ぜられる。協力するゲリラ隊には、腹の読めないパブロ、女傑ピラール、そして敵側に両親を殺された娘、マリアらがいた。無垢なマリアと恋に落ちたジョーダンだが、死を賭した作戦決行が数日後に迫っていた。内戦取材を元に、激動する運命と愛を生々しく描き切る、ヘミングウェイ畢生の大作。

 

 

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星組公演

ミュージカル・ロマン『誰がために鐘は鳴る』2部37場

脚本・演出 柴田侑宏

昭和53年(1978年)5月12日〜6月27日

*併演公演はなし

 

 

ヘミングウェイ作『誰がために鐘は鳴る』を世界初の舞台化。第二次世界大戦直前のスペイン。ファシスト軍を打倒するためにゲリラに身を投じたアメリカ青年ロバート・ジョーダン(鳳蘭)が、敵の重要な橋梁を爆破しようと挺身する3日間が舞台。ロバートと、ファシストによって両親を殺され、自身も被害を受けた少女マリア(遥くらら)との短くも激しい恋が美しく描かれる。主題歌の一部を作曲家・平尾昌晃氏が担当。鉄橋爆破の見事な屋台崩しが話題となった。

 

 

宙組公演

NTT東日本・NTT西日本フレッツシアターミュージカル『誰がために鐘は鳴る』2部37場

原作 アーネスト・ヘミングウェイ

脚本 柴田侑宏

演出 木村信司

平成22年(2010年)11月12日〜12月13日(宝塚大劇場)、平成23年(2011年)1月1日〜1月30日(東京宝塚劇場)

*併演公演はなし

 

 

20世紀を代表するアメリカの小説家・詩人でもあるアーネスト・ヘミングウェイの長編小説で、義勇兵とし内乱のスペインに赴き、渓谷に架かる敵の橋梁を爆破するという大きな任務を担ったアメリカの大学講師ロバート(大空祐飛)と山中のゲリラたちに匿われていた娘マリア(野々すみ花)との恋、最前線の山に籠るゲリラの人間模様等、わずか四日間の息詰まるような人間模様が描かれた作品。宝塚歌劇では昭和53年に舞台化。

 

 

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人は誰も自立した孤島では

ない 人はみな大陸の一片 本

土の一部 もし一片の土くれが波

に洗い流されれば ヨーロッパはそれ

だけ狭くなる まさしく一つの岬が洗い

流され あなたの友人やあなた自身の荘園

が洗い流されたかのように だれが死んでも

わたしの一部が死ぬ わたしもまた人類の

一員なのだから となれば問うまでも

ない 誰のためにあの弔鐘は鳴って

いるのかと あれはあなたの

ために鳴っているのだ

 

 

ーーージョン・ダン

 

 

「誰がために鐘は鳴る・上」です(・∀・)

 

 

宝塚は男女の美しい恋愛と男同士の友情がてんこ盛りならジャンルや媒体を問わずどんな作品も舞台化します。それが例え世界初でも! しかもこの作品の舞台は近現代で中世期のような華やかさには欠けています。事実その美しい華やかさはこの作品では内乱前の平和、幸せだった過去として追憶されるに過ぎません。現在軸で語られるのは極限下に有る人間の矜持、友情、親愛の情、そして愛という人間の心の気高さです。

 

私は12年公演しか知らず、しかも受験と重なった為に観に行くことは出来ませんでしたが『GRAPH』や『歌劇』等でリアルタイムで情報は手に入れられました。祐飛さん、ほんとカッコいい……

 

 

スペイン内戦(1936〜1939)。第二共和政だったスペインでそれにクーデターを起こした右派のフランコ一派とそれに対抗する左派、人民戦線派の戦いで内戦とは言うものの両勢力には沢山の国が関わり、まるで第二次世界大戦前戦のような立ち位置にあります。ロバートは義勇兵として人民戦線派に参戦し、ゲリラたちと協力して右派にとって要で有る橋の爆破に挑みます。歴史を知っているとこの後の展開が予想出来るので泣けてきます……マリア〜……。゚(゚´Д`゚)゚。

 

 

ロバートとマリアがあまりにもキュンキュンする純愛を繰り広げている間にも決行への刻限は近づき、ロバートはゲリラの人たちと信頼関係を築かなければいけません。ゲリラ1人1人が隠さず語る過去の中に普通の人たちが武器を取り、人を殺すことがどういうことなのか、という答えの全てが有る。印象的だったのアンセルモと女傑ピラールが語るところですね。ゲリラの人たちの行為が隠さず語られるのに対し、ファシスト軍の行為(マリアに対する)がぼやかされているのが意味深です。人を殺すという行為に対し、本来はどちらの肩入れもしてはいけない。その答えはそのまま本文中に有る。

 

 

上巻は臆病者になってしまったパブロの不可解な前言撤回で終わります。絶対何かやらかす……ってこれで2日間が終わるのに! 明後日には決行だよ!!?