ドラゴンと出会した人たちのてんやわんや!
◇ビバ! ドラゴン◇ -The Dragon at Hide-and-Seek and the Other Stories-
G・K・チェスタートン 他 佐藤高子、渡辺南都子訳
法に背を向ける無頼の徒ラヴロック卿。つね日頃、人目をはばかるこの男、おのれの変幻自在に出没する術をかけ、世間を騒がす悪竜退治へと乗り出した……ミステリ作家としても名高いG・K・チェスタートンがユーモラスに綴る「竜とカクレンボ」他、キャロル的ナンセンス溢れるL・F・ボームの「王さまの首とムラサキ・ドラゴン」、モダン・ホラーの第一人者R・ブロックの異色作「ドラゴンの執念」など空想上の動物の中でも、その特異なキャラクターで知られる人気者ドラゴンをテーマに、五人の著名な作家たちが書き残した傑作ファンタジイ。
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1.王さまの首の不思議な冒険(The King's Headand the Purple Dragon)
(L・F・ボーム)
……おもしろ国の王様はちょっとした災厄を抱えていた。邪悪なムラサキ・ドラゴンが1番美味しいチョコレート・キャラメルを食べ尽くしてしまうのだ。王様は勇んでドラゴン退治に出かけるがなんと首がなくなってほうほうの体で帰って来て……
2.ムラサキ・ドラゴン退治(The End of the Purple Dragon)
(L・F・ボーム)
……王様の首を取り戻してもムラサキ・ドラゴンは変わらず獰猛で食欲旺盛で王宮庭園の食べ物を食べ尽くす始末。なんとかしなければならない。考えた末、巨大な歯抜きヤットコでドラゴンの歯を抜くことになった! すると……
3.最後のドラゴン(The Last of the Dragons)
(E・ネズビット)
……王子様はドラゴンを退治し、囚われのお姫様を救出してめでたしめでたし、が世の常である。しかしコーンウォールの姫様は違った。なんと剣の腕がたつし、肝がすわっているのだ。そこであらかじめ王子に手紙を出してドラゴン退治をしないようにすむよう画策する。
4.竜とカクレンボ(The Dragon at Hide-and-Seek)
(G・K・チェスタートン)
……昔々、変幻自在、大胆に人に姿を見せる癖に普段は誰からも姿を隠している無頼の騎士がいた。名はラヴロック卿。ラヴロック卿はおりしも突如出没したドラゴンに対して「絶対に見つからない場所を知っている」と自信満々で……
5.ドラゴンの執念(The Eager Dragon)
(ロバート・ブロック)
……バッチはアーサー王宮廷から来たパラギン卿の手伝いをし、そのお礼?に卵をもらった。バッチとその話を聞かせた動物売りの2人組と卵を温めると……なんと孵ったのはドラゴンだった!
6.コンラッドと竜(Conrad and the Dragon)
(L・P・ハートリイ)
……父母と2人の兄と住む、どちらかというと気の弱い少年コンラッドはある日王さまの城とそこに現れた竜を目にする。それからというものの美しい王女ヘルミオネ姫と結婚するためにドラゴン退治を挑み、命を落とす男たちが続出した。時が流れると身分も問われなくなり、コンラッドもドラゴン退治に行くことに。だが……
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「ビバ! ドラゴン」です(・∀・)
東洋では崇められ、西洋では退治されてなんぼ←のドラゴンが主役のアンソロジーです。
チェスタートン目当てに読みましたが他の作品も良かったです。チェスタートンらしい逆説めいた隠れ場所ですね。しかしその後どうしたんだ←
1、2は「オズの魔法使い」の作者ボームの御伽噺的てんやわんや。お庭にはお菓子、レモネードの雨が降り、首が無くても王様は死なないとか良いですね、夢があります。
というか首無し王様って昔からいたのかー。昔、花ゆめで好きだった漫画の主人公が首無しで、当時かなり斬新だったんですよ。あとドラゴン退治のやり方も血生臭くなくてそこも良い!
3は童話の姫様らしく無い姫様のお話。最後の一文が良い味している。
5は男と少年の友情とビールとドラゴン育成物語。……ってこの作者、「サイコ」の人だったのか! これ読んでから「サイコ」観たらギャップの後味が凄すぎてショック死するかも知れん。いや、普通逆か←
6は普通にお姫様巡ってのドラゴン退治……と思いきやまさかの誰も幸せにならない結末。いやーこれお互いに相手が相手を知らなさ過ぎたな……というか姫様、それじゃあまるでとある歌劇の姫様だよ……ネタバレになるから言わないけど←
「ビバ! ドラゴン」でした(・∀・)/
次はまた北欧ミステリ、デンマーク編、とある学園には巨大な陰謀が隠されていた!?(*^o^*)/