山本周五郎 No.1◇さぶ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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どんな人間にも"さぶ"のようにひたむきに信じてくれて、ずっとそばにいてくれる存在があるから人は生きていけるーーー

 

 

 

 

 

◇さぶ◇

山本周五郎

 

 

江戸下町の表具店で働くさぶと栄二。男前で器用な栄二と愚鈍だが誠実なさぶは、深い友情で結ばれていた。ある日、栄二は盗みの罪を着せられる。怒りのあまり自暴自棄になり、人足寄場に流れ着く栄二。人間すべてに不信感を持つ栄二をさぶは忍耐強く励まし、支える。一筋の真実と友情を通じて人間のあるべき姿を描く時代長編。

 

 

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月組公演

ミュージカル・プレイ「白い朝」10場

脚本・演出 柴田侑宏

昭和49年(1974年)1月31日〜2月26日

*併演作品は「ロマン・ロマンチック」

 

 

新生月組の第1作。山本周五郎の「さぶ」を舞台化。江戸で有名な表具屋の職人さぶ(大滝子)と栄二(榛名由梨)は、幼少よりこの店に奉公し修行した仲。腕は栄二の方がよく、さぶは失敗ばかり。栄二は常にさぶを庇い、さぶはそんな栄二に感謝し、二人の友情は固く結ばれていたが……

 

 

花組公演

ミュージカル・プレイ「白い朝」10場

脚本・演出 柴田侑宏

平成9年(1997年)10月25日〜11月11日、宝塚バウホール、平成10年(1998年)2月28日〜3月8日、日本青年館
 
 
江戸時代、盗みの嫌疑をかけられ人足寄場に送られた栄二(匠ひびき)を心配し、励ます職人仲間のさぶ(伊織直加)やおのぶ(渚あき)、恋人のおすえ(舞風りら)たち。市井に生きる若者たちが壊れそうな小さな夢を胸に抱きながら大人になっていく、青春の苦悩とその過程を描いた心温まる物語。山本周五郎の小説「さぶ」を原作に、昭和49年に宝塚大劇場にて月組で上演された作品を、現代感覚に合わせてリメイクしてお届けした。
 
 
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「さぶ」です(・∀・)
宝塚文学制覇計画3冊目は時代小説です。藤沢周平や童門冬二は読んだことがありますが山本周五郎は初めてです。直木賞を始めとするたくさんの賞に選ばれながらどれも辞退しとうとう1つも賞を貰わなかったという、非常に気難しい作家だったとか。その姿勢はまるで職人みたいなのでなんだか山下達郎を思い出しました。
 
 
本書の主人公は表具の職人である栄二とさぶ。気質も性格も全然違う2人の友情の話です。そして人の優しさに触れる物語です。男女の関係に焦点が当てられがちな宝塚ですが、実は男と男の友情の話も同じくらい多い。しかも後者の方がバリエーションに富んでいて面白いです。
 
 
その中でさぶは別格ですよ。゚(゚´Д`゚)゚。  職人の腕も良くて男前で女の子にモテる栄二の隣にいつもいてもしかしたら周りはとやかくなにかを言ったかも知れない、でもさぶはずっと栄二を尊敬し、友達として大事に思っていました。その真価が皮肉なことに栄二の転落で明らかになります。
さぶが栄二に邪険にされようと揶揄われようとも人足寄場に出向かなければ同じ部屋の仲間と助け合い、幾多の困難を乗り越えることは出来なかった、彼らの言葉に耳を傾け、やけっぱちから立ち直ることは出来なかった、断言しても良い。だからこそ終わりの方で本当に裏切られたように思えたし、最後の台詞に「また元の、事件が起こる前の2人の関係が始まるのだな」と思えた。さぶみたいな人のことを人は「高潔」と呼ぶのでしょう。
 
 
人間は「さぶ」のような人にどこまでも信じてくれる人が1人でもいるから生きていける。それは親兄弟でも赤の他人でも良い。自分にもいます。それはとても幸福なことだし、光栄なことです。その人のことは絶対裏切りたく無いし、ずっと大切にしたい。まさにキャッチコピーに相応しい作品でした。
 
 
「さぶ」でした(・∀・)/ 
次は再びアシモフ3連発!(*^o^*)/