強盗を利用して銀行のお金に着服したことが、転落と不眠の始まりだった……
◇罪人は眠れない◇ -Tænk På et Tal-
アーナス・ボーデルセン 隅田たけ子 訳
まったく完璧な計画だった。決して発覚することのない公金横領。それはフレミン・ボークが銀行員であるからこそ可能な犯罪だった……
行内に捨てられていた一枚の紙片、それがヒントになった。ボークは銀行強盗が近々現れることが予測できたのである。周到な準備のうえ、彼はその日を待った。やはり強盗は姿を現し、彼の計画は的中した。ボークは見事に強盗の上前をはねた! ーーー着服した金を強奪された額に含めることで…。
だがその日から、彼の前には次々と難事が持ち上がった。一つ一つそれをはねのけたボークも、美しい女の接近が何を意味するかまでは読めなかった。
北欧ミステリ第一人者の手になる傑作サスペンス!
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出納係ボークがクリスマス前の繁忙期にそれを見つけたのは偶然だった。銀行に用意されている用紙にうっかり残されていた薄い青の筆跡。それは強盗が金を要求する時の決まり文句だった。しかもそれを書いた人間まで突き止めた。
近いうちにこの銀行に強盗が来る! ボークは計画を立てた。この強盗を利用して銀行の金を盗むのだ。少しずつ弁当箱に銀行の金を仕舞い、強盗犯が金を奪った時にその額を多く見積もれば……成功だ!
しかし成し遂げた瞬間から難題が持ち上がる。当の強盗ーーーサンタクロース強盗ソーンフレ分け前を要求されたり、ソーンフレの相棒である美女アリスにも目をつけられる。……しかし本当の苦難はアリスと手を組み、弁当箱のお金を首尾良く手に入れ、チュニジアにバカンスに行った時に始まった……
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「罪人は眠れない」です(・∀・)
北欧ミステリ、デンマーク編、ボーデルセン第2作目です。前作と微妙に名前違いますが、安心してください同じ人です。
前作はひき逃げ事故を起こして逃げ惑う男の話ですが、今作はお金を着服した男の物語です。2作続けて倒叙風なのでこの作者は倒叙サスペンスが十八番だったようで。
前は起こそうと思って犯したわけでは無いのに対し、今回はバリバリ自発的です。出納係って今はもうピンと来ませんが、昔はお金の出し入れって手動だったんですね。ぎょえー。そりゃこんな犯罪も起きますわ。これ、一応1980年代の話なのですが。
今作も暴力シーンはなく、ひたすらボークが犯罪を起こす背景描写とボークVSサンタクロース強盗or謎の美女の駆け引きで進行します。読みながらどちらに転がるか、予測できそうでできないところがあります。第3部でどんどんボークが坂道を転がるように転落していく様はまさしく因果応報で前作の終わりが納得できなかった自分としては満足でした←
「罪人は眠れない」でした(・∀・)/
次はブラッドベリの短編集です(*^o^*)/