人の直ぐ隣に在る人ならざるもの、それらの密やかな営みと感情。
◇龍宮◇
川上弘美
女にはもてるのに人間界にはなじめなかった蛸、七世代前の先祖にひとめぼれする二百歳の女、曽孫の前に突如現れ、放浪の果てに自然神となった曽祖母、男の家から海へと帰る海馬―。人と、人にあらざる聖なる異類との交情を、説話的な要素と日常のリアリティを融合させて描いた玉手箱のごとき8つの幻想譚。
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1.北斎
2.龍宮
3.狐塚
4.荒神
5.鼹鼠(うごろもち)
6.轟
7.島崎
8.海馬
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「龍宮」です(・∀・)
まずこの話の主人公は人間ではありません。蛸とか狐とか海馬とか鼹(もぐら)や昔々のご先祖さまや神様になった人間といった「ひとならざる」ものたちです。
動物も私たちが知る動物では無く、何処か幻惑めいた雰囲気を持っています。1作だけは人間の話ですが、これは紛れもなく輪廻転生の理の話。というかそもそも姉妹だけで人生を語ることはできないのでやはり彼女たちは何処か人では無い。1と2と4、5には人間が出て来ますが、彼らは異類の世界を知った点でもうこれまでの世界には戻れない。
この人の作品も8作目ですが、どう考えても異質、異類が混ざっているのに人間の日常生活に溶け込んでいます。隣にいるのが、存在するのが当たり前、それがどうしたよ。といった体。あんまりあっけらかんとしているので読んでいる私たちは惑わされます。本を閉じた後、世界がそんなふうに変わっているのでは無いか、と。そうだったら少し面白いのにな!
「龍宮」でした(・∀・)/
次はー……実はTwitterで気になっていた本をやっとゲットできたのでそれです(*^o^*)/