投獄された「わたし」を通して目に映る、監獄と囚人たちの精神と犯罪に対する恐るべき心理と時々垣間見える人間性ーーー
◇死の家の記録◇ -Записки из Мёртвого дома-
フョードル・ドストエフスキー 工藤精一郎 訳
思想犯として逮捕され、死刑を宣告されながら、刑の執行直前に恩赦によりシベリア流刑に処せられた著者の、四年間にわたる貴重な獄中の体験と見聞の記録。地獄さながらの獄内の生活、悽惨目を覆う笞刑、野獣的な状態に陥った犯罪者の心理などを、深く鋭い観察と正確な描写によって芸術的に再現、苦悩をテーマとする芸術家の成熟を示し、ドストエフスキーの名を世界的にした作品。
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「文豪ストレイドッグス制覇計画」、もとい「魔人」フョードル第2弾です。あともう1作ありますのでドス氏は難しいですが、頑張ります。
今回は組織名にもある『死の家の記録』です。これは1850年にペトラシェフスキー事件で逮捕され、ギリギリの恩赦でシベリア流刑に処されたドストエフスキーがオムスク要塞監獄に収容された体験と見聞の記録です。この人もなかなかアバンギャルドな人生送ってんな……
13巻より。「文スト」でもドス氏は逮捕され、投獄されますね。ただこちらはドス氏の計画だったわけですが……『天人五衰』の最後のメンバーも明かされ、「石が坂道を転がり落ちるように」事態は最悪の方面へ……果たして打開策(異能力者でも良いけど)はあるのか? 来月を楽しみに待機しております。
さて、本書。シベリア流刑囚になったドス氏は作家ですから見たもの聞いたものを書き記さずにはいられませんでした。彼はオムスク要塞を通して地獄と矛盾に満ちた世界と社会を見出し、そこにいる人間、つまり囚人たちの底知れない犯罪の心理と垣間見える人間性を目の当たりにしました。囚人の中には優しい性格、お人好しの者、心根が弱い者たちといったおおよそ犯罪とは縁の無さそうな人たちもおり、「そんな彼らを犯罪に駆り立てたのは、また監獄の中に閉じ込めて無惨に葬らさせたのは誰の罪なのか?」という明治時代に書かれた悲惨小説と同じ問いが発せられています。
また語り手の「わたし」は元貴族。そうでない彼らとの絶対に超えられない壁、絶対に理解できない枠組みをも痛感します。
「死の家の記録」は「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」の母体になったと言われています。そう考えると「文スト」の組織名に使われた理由も納得です。
次回は台詞にも出てくる「悪霊」になります。しばらくお待ち下さい。
「死の家の記録」でした(・∀・)/
次は川上弘美の、ちょっと児童文学のようなファンタジー作品です(*^o^*)/