レーナ・レヘトライネン No.2◇氷の娘◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




TwitterもといX: 「https://twitter.com/KYoCaTHouWoR
エブリスタ: https://estar.jp/users/153193524

フィンランド・フィギュアスケート界の女王が殺された!

 

 

 

 

◇氷の娘◇ -Kuolemanspiraali-

レーナ・レヘトライネン 古市真由美 訳

 

 

買い物を終えた女性が、車のトランクで少女の死体を見つけた。暴行を受けて殺害されたらしいその少女は、フィギュアスケートの若手ホープ、ノーラ。つい数日前その演技を観たばかりのエスポー警察の巡査部長マリアは、ショックを隠せない。有力な容疑者としてノーラの母親につきまとっていたストーカー男が浮上するが……。産休目前のマリアが、ノーラを巡る人間関係に捜査のメスを入れる。フィンランドで大人気のシリーズ第二弾。

 

 

☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆

 

 

上司タスキネンの娘シルヤが出演しているフィギュアスケートのアイスショーを観に来たマリアはそこで白雪姫を演じたノーラの演技に魅了される。ノーラの母親のストーカーが現れたり、偶然口論も耳にするも概ね素晴らしい日だった。……そのノーラが数日後何者かによって殺されていなければ!

 

 

ノーラはアイスアリーナから帰るところを殺害されたらしい。それもスケート靴で傷を負わされていた。ノーラの母親ハンナをストーキングしていたカラオケ王テラスヴオリが1番の有力容疑者だったが、完璧なアリバイが有ったことが分かる。それともフィギュア・スケートの関係者なのか? フィギュアスケートの光と影のように容疑者も誰も彼も一筋縄ではいかない人間ばかり……

 

 

☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆☆*:.°. .°.:*☆

 

 

「氷の娘」です(・∀・)

小柄なマリア・カッリオシリーズ第2作目。身重でもうすぐ産休直前。見ていて超危なっかしい。ハラハラしっぱなしだよ! 相変わらずタスキネンは理想の上司の上位に入るレベルの良い警察官だし、ペルツァは超嫌な奴!

 

 

本作のテーマは昨今大流行りのフィギュアスケート。フィギュアスケートと言えば大国ロシアですが、お隣フィンランドでも盛んなようです。作者レヘトライネンはフィギュアスケートの大ファンでその解説本も書いて賞を貰ったことも有るとか。読んでいてフィギュアスケートが好きなことが伝わって来ます。フィギュアスケートには全然詳しく無いのですが今季は観てみようかな……やるんだったら←

 

 

フィギュアスケートはお金が無いと出来ないスポーツだとよく聞きますが、その辺りの事情も垣間見えます。影と闇も見えます。選手と選手の関係、コーチと選手の関係、選手とコーチと協会理事の関係……本作はフィギュアスケートの光と影と泥と闇が浮き彫りになって私たち読者の眼前に晒されます。多分羽生くんとか本田姉妹とかもノーラ、ヤンネ、シルヤと同じ葛藤や悩みを抱えているんじゃ無いだろうか……

 

 

この話、1997年の話で日本の出版は2013年なのですが、全然古臭くない。ストーキング問題とか「女性はこう有るべき」という伝統的姿勢の押し付けに対する葛藤とかまさに未だ現代の問題。北欧ミステリーは本当にいつ読んでも主人公は別の顔をしているが、読んでいる私たちで有るという香りが凄い。英国ミステリーや米国ミステリーではこうは行かない。でもそれだけ社会が大きく変わってはいないということ。いつか北欧ミステリーでも「そんな時代あったなぁ」と思える時が来れば良いのだけど……

 

 

「氷の娘」でした(・∀・)/

龍と虎が一対一でぶつかる時が来た! (*^o^*)/