多和田葉子 No.11◇雪の練習生◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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「わたし」「わたし」「わたし」ーーーそれは祖母、母、孫の3代のホッキョクグマの物語ーーー

 
 
 
◇雪の練習生◇
多和田葉子
 
 
腰を痛め、サーカスの花形から事務職に転身し、やがて自伝を書き始めた「わたし」。どうしても誰かに見せたくなり、文芸誌編集長のオットセイに読ませるが……。サーカスで女曲芸師ウルズラと伝説の芸を成し遂げた娘の「トスカ」、その息子で動物園の人気者となった「クヌート」へと受け継がれる、生の哀しみときらめき。ホッキョクグマ三代の物語をユーモラスに描く、野間文芸賞受賞作。
 
 
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1.祖母の退化論
 
 
2.死の接吻
 
 
3.北極を想う日
 
 
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「雪の練習生」です(・∀・)
主人公はなんとホッキョクグマ! ソ連、カナダ、東ベルリンを舞台に祖母、母、孫の年代記です。これが漫画だとありきたりですが、小説だと一見人間のようにも思えて「ああ、今、わたし、小説読んでるわ〜」と思えます。
 
 
祖母の「わたし」、その娘トスカ、その息子クヌート。3……匹はそれぞれ人間と関わり合いながら生きていきますが、その姿はなんだかとても切ない。とてつもない不幸が訪れるわけでもないのになんだか悲しいのはおそらくどの人間もどの3匹よりも先に逝ってしまい、3匹が後に遺されるからだ。また3匹の人生は冷戦勃発と終戦、ベルリンの壁の建設と崩壊を辿っていて人間の年代記でも有ります。人間はそれぞれなんの繋がりも無いのですが、特にマティアスが悲し過ぎる…….°(ಗдಗ。)°.
 
 
1番リアリティーがあるのは動物園でスターになるクヌートですが、クヌートはなんと実在していて、生い立ち等もよく似ていたそう。この話を読むと某動物漫画を思い出しますが、それとは雲泥の差の切なさが有ります。動物園の動物たちの見る目が変わる……
 
 
「雪の練習生」でした(・∀・)/ 
次もまた新潮文庫からです(*^o^*)/