スタニスワフ・レム No.6◇エデン◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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6人の科学専門家たちは降り立った惑星エデンで何を目撃し、何と邂逅するのかーーー

 
 

 
◇エデン◇ -Eden-
スタニスワフ・レム 小原雅俊 訳
 
 
惑星エデン―宇宙空間に巨大なオパールのしずくのように煌めくその星に、6人の地球人科学者を乗せた宇宙探査船が不時着した。だが、地表で彼らが見たものは、巨大な生体オートメーション工場と、その大量の廃棄物、そしてエデン人の累々たる死骸の堆積だった。一つの個体が労働部分と思考部分に分かれた複体生物であるエデン人に、いったい何が起こっているのか? 地球人科学者はエデンの人との知的接触をはかろうと試みるのだが…。未知なるものとの出会いを豊かな想像力と哲学的視点から描き、『ソラリスの陽のもとに』『砂漠の惑星』とともに三部作を築きあげる問題作。
 
 
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大気圏の上を飛ぶ筈が、その中に突っ込んでしまったばっかりに不時着することになった。乗っていたのはコーディネーター、物理学者、化学者、サイバネティスト、ドクター、そして技師のヘンリック。しかも宇宙船は地中深くに埋まってしまい、まずそこから這い上がることから始まった。
 
 
着陸した惑星はエデン。分からないことも多い惑星だ。6人は惑星を探検する。酸素があるのだから水や生命体がある筈だ。しかし6人が目にしたのはなんらかの工場とその廃棄物、そしてエデン人らの死骸だった……
 
 
エデン人はどのような存在でどのような考え方を持ち、どのような社会を形成しているのか? 6人はそれを解明しようとするが……
 
 
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「エデン」です(・∀・)
 
 
次回登場する傑作と名高い「ソラリス」、「砂漠の惑星」と共に人類と宇宙の未知の生物の邂逅をテーマにしたレム版シリアス・ファンタジー3部作の1作目です。「金星応答なし」でも同じテーマを扱っていますが、こちらは明るいところは一切無い本物のシリアス、そして「もし宇宙に進出する世の中になったら、あり得るかも知れない」と思える、ある意味現実的?
 
 
惑星エデンに住むエデン人は人間と似ても似つかない、労働部分と思考部分が別々になっていて、地球の定義や枠組みにはめ込んでしまったらますます訳が分からなくなります。というかまぁ、当たり前ですよね。だって地球じゃないし。そもそも同じ地球でも国境を越えれば私たち日本人が思いもよらない、全く別の考え、別の感情を持った人たちだらけだというのだから、宇宙もその道理に外れないでしょう。ただのそのスケールがでかいだけ。私たち現代人は皆、地球人以外の生命体の出会いを待ち望んでいますが、果たしてそれが幸運をもたらすのか……と考えずにはいられない。そんなこったぁを考えているのは多分私だけだと思いますが……
 
 
本作は名前で登場する、というか名前を呼ばれるのは1人だけです。それも特定の語り手、というわけでもなく、登場人物の、または視点の1つとして登場するに過ぎません。ヘンリックの最後の渇望や他の5人の暴走や拒否感や嫌悪感は遠い未来の私たちがエデン人(に類する)に対しての感情だという意味で他人事では無い。要するにはこの6人は私たち自身なんだな。きっと。
 
 
……しかしレム氏の作品は読みにくい! 視点がしょっちゅう変わるし、翻訳もなんかまどろっこしい。6作読めば作者のペースが掴めるのですが、レム氏はなかなか難儀中……!
 
 
「エデン」でした(・∀・)/ 
猫を中心に、異常な夫婦生活!?(*^o^*)/