ローレンス・オズボーン◇ただの眠りを◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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メキシコ各地を転々としてもタフと高潔さは忘れないーーー

 
 

 
◇ただの眠りを◇ -Only to Sleep-
ローレンス・オズボーン 田口俊樹 訳
 
 
フィリップ・マーロウ、72歳。私立探偵は十年前に引退して、今はメキシコで隠居の身。ホテルのテラスでマルガリータを啜り、カード遊びで時間を潰す毎日だ。しかしそんなマーロウに久しぶりの依頼が。溺死したとされる不動産業者が実際に事故で死んだのか確かめてほしいという。保険会社は偽装を疑っていた。マーロウは男の足跡を追い、カリフォルニアとメキシコを行き来する。やがて男の妻、美しいドロレスと出会い――。異色の作家がチャンドラーに捧げて描く、杖を突きながら異国の地を行く、老境のマーロウ!
 
 
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かつてはハードボイルドの第一線で活躍したフィリップ・マーロウも72歳になれば流石に引退の身の上。ホテルのテラスでカクテルを飲んだり、カードゲームをする毎日だ。
 
 
そんなある日、マーロウのところに保険会社の男たちがやってきた。ドナルド・ジンというアメリカ人不動産業者が溺死したのだが、本当に溺死で偽装されたものではないかを確かめたいという。というのもメキシコでは賄賂を使って死亡証明書を書き直すことが簡単に出来るからだ。其れにジンは破産していた。マーロウは退屈しのぎといくらあっても困ることは無い金の為に引き受けることにする。
 
 
マーロウはジンの足取りを調べ始める。マーロウはジンの若い未亡人ドロレスに出会う。更に調べるとジンはかなりの酒を飲んでいたことが分かる。更に発見された時、身分証を持っていたとも。普通そんなものを身につけて泳ぐか?……身分証を持っていれば身元は簡単に判明する。まさか死んだ男はジンでは無い? 保険会社の疑いは正しかった? ……其処から浮かび上がったのはポール・A・リンダー。この2人が入れ替わった? マーロウは今度は"リンダー"の足取りを辿るが、各地を転々とする上に執拗な邪魔が入り……
 
 
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「ただの眠りを」です(・∀・)
 
 
パスティーシュ in フィリップ・マーロウ版です。ハードボイルド探偵No. 1に輝くフィリップ・マーロウのパスティーシュは本作で4作目。今までは元祖作品の続編といった位置付けでしたが、本作は全くのオリジナルで歳もなんと72歳! 72歳ではとっくに引退しているだろう……と思いきや平和な隠居生活です。逆によくそこまで生きていられたな← メキシコなのでものすごく日焼けして歯だけすごく真っ白と言うのを想像してしまいました(笑)
 
 
こんなホテルでカクテル&カードゲーム三昧ではボケるの道まっしぐらのようですが、そんな日々はある日保険金詐取の有無を調べる事件で中断します。日本でゲットした杖の中に刀の仕込刀を相棒にタフに高潔にメキシコとアメリカを行き来します。そう、昔と変わらずタフに。老人という体力的不利にも屈せずに依頼をこなし、いつのまにかやられたらやり返すという一念だけで(クソ喰らえな)約束を反故して執拗に追い続ける。歳を重ねてもフィリップ・マーロウは変わらないと思っていたけれど元祖よりも何故か人間らしく見えます。歳を重ねたからか? しかし随所随所の気障さは健在です。何故かほっとした←
 
 
「ただの眠りを」でした(・∀・)/ 
次はーーーはい! お待たせ致しました! 新しいSF作家の登場です!!(*^o^*)/