H・G・ウェルズ No.22◇神々のような人々◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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地球とは別の惑星のその世界は神々のような人たちが住むユートピアだったーーー

 
 

 
◇神々のような人々◇ -Men Like Gods-
H・G・ウェルズ 水嶋正路 訳
 
 
バーンスタプルは休暇が必要だった。週刊誌の編集次長兼雑役の仕事も、家庭にもうんざりしていたのだ。こうして二、三週間分の荷物を車にのせてロンドンに向かうことにした。1921年、炭坑のロックアウト、アイルランドの暴動、旱魃が続き世界は終末感を強めていた。はるか向こうにポプラの木々とウインザー城の遠景が望むあたりで、彼を追いぬいていった二台の車が影も形もなく消え失せた。驚くまもなく、彼の車も何かに当たって生け垣のほうにねじれるように横滑りした。が、停車して仰天した。それまで走っていた道路とまるで違うのだ。それだけではない。素っ裸で死んでいる男女、銀色の豹、火事……そこはテレパシーで話し合いをし、政府も私有財産も警察もないユートピアだったのだ。だが細菌に抵抗力のないユートピア人に、地球人が持ち込んだ伝染病が発生するや……壮大な構想と透徹した社会批判の眼をもって描かれたユートピア小説の古典、遂に邦訳。
 
 
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大戦後、世界は不安定な時代に突入した。その鬱屈は週刊誌編集者のバーンスタプルの心身を蝕んだ。バーンスタプルは休暇を取り、適当な言い訳で家族も連れず、たった独りになった。湖畔地方に行くーーー筈だった。ウインザー城を望む道路で先んじた2台の車が目の前から消え失せて、バーンスタプルの車も横転しなければ。
 
 
起き上がると見慣れた景色は消え失せて、全く得体の知れない場所に居るではないか! しかもすぐ近くでは火事が起こって素っ裸の男女が死んでいると言うし! 訳が分からない。もっと訳が分からないのは神々のような美貌の持ち主たちはバーンスタプルらと明らかに違う、高度な文明を持っているのにバーンスタプルに馴染みのある英語を話したことだ。
 
 
混乱するバーンスタプルらに説明をしてくれたのは科学者のサーピンタイン。彼はこの世界は地球とは全く別の惑星のもので遙かに高度な文明と理想的な考え方に占められているという。バーンスタプルは感銘を受けるが、他の人たちは懐疑的で憤慨すらする。
 
 
サーピンタインらは地球人に色々な質問をするが、其れは地球人が保有する伝染病で終わりを告げる。病気の原因である細菌源がなくなって等しいこの世界ではもはや免疫力は存在しなくなり、あっという間にユートピア世界に広がってしまったのだ。地球人は隔離されるが、抵抗する。しかしバーンスタプルはユートピア世界に浸り、地球人を裏切る決心を固める……
 
 
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「神々のような人びと」です(・∀・)
お待たせしました。やっと通常の読書の輪に戻ります。ウェルズです。本書を読み終わったらウェルズはラス1になります。嘘だろ←
 
 
本書は今でこそマニア向け、通だろと言われかねない貴重本ですが、ユートピア小説の古典として知る人ぞ知る名作です。ユートピア惑星での実験がきっかけで迷い込んでしまった地球人が理想的な、しかし地球の常識とはズレまくった考えに触れながらも結局『今のところは』相入れることが出来ず、決裂してしまう物語です。別惑星とか実験とかはクラークやハインラインでもお馴染みですが、その中に学者的な人間学や歴史学を盛り込んだところは流石ウェルズ。小説というよりも学術書読んでいるような気分……
 
 
ユートピア世界は争いも貧困も戦争も不潔も無いし、精神は豊かだし、良いとこ取りですが、「なんか違うな?」と思うところもあったり……うまく言えないけどバーンスタプルみたいに手放しで賛成できないというか……多分今のままでは到底届かない世界だから惨めに思うのかも……嘘が最大の悪徳というのは上手いです。今の政治家共はこれ、読みやがれ。
 
 
とは言え、争いや汚さが無いというのは良いな……小説で生きていけるならユートピア世界も良いかも……←小説でしか生きていけないと思っているタイプ 今世界を振り回しているコロナコロナコロナ……も異星人の病気とぐらい分かればある意味すっきりするのに←
 
 
「神々のような人びと」でした(・∀・)/
次は青い部屋での激しい愛欲です(*^o^*)/