池内紀 編訳◇ウィーン世紀末文学選◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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帝国の栄光と翳りを映し出し、新しい芸術が生まれた『世紀末ウィーン』を目撃せよ!

 
 

 
◇ウィーン世紀末文学選◇
池内紀 編訳
 
 
学問・芸術が絢らんたる花々を咲かせた「精神の世界都市」ウィーン。文学界にはシュニッツラーやホフマンスタールなど、いずれも一筋縄では行かぬ文人たちが輩出し才を競いあった。その多彩な世界を一望し、特異な精神風土を浮び上がらせる待望のアンソロジー。
 
 
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1.レデゴンダの日記(アーサー・シュニッツラー)
  (Das Tagebuch der Redegonda)
 
 
2.ジャネット(ヘルマン・バール)
  (Jeanette)
 
 
3.小品六つ(ペーター・アルデンベルク)
  (Im Volksgarten u.a.)
 
 
4.バッソンピエール公綺譚(フーゴー・フォン・ホフマンスタール)
  (Erlebnis des Marschalls von Bassompierre)
 
 
5.地獄のジュール・ヴェルヌ/天国のジュール・ヴェルヌ(ルードヴィヒ・ヘヴェジー)
  (Jules Verne in der Hölle Jules Verne im Himmel)
 
 
6.シャイブスの町の第二木曜日(フリッツ・フォン・ヘルツマノフスシー=オルランド)
  (Der Zweite Donnerstag von Scheibbs)
 
 
7.ダンディ、ならびにその同義語に関するアンドレアス・フォン・バルテッサーの意見(リヒャルト・フォン・シャオカル)
  (Andreas von Balthesser über den 《Dandy》 und Synonyma)
 
 
8.オーストリア気質(エゴン・フリーデル)
  (Der Österreichische Seele)
 
 
9.文学動物大百科(抄)(フランツ・ブライ)
  (Das Große Bestiarium der Literatur)
 
 
10.余はいかにして司会者となりしか(アントン・クー)
 (Wie Werde Ich Conferencier?)
 
 
11.楽天家と不平家の対話(カール・クラウス)
 (Der Optimist und der Nörgler im Gespräch)
 
 
12.すみれの君(アルフレッド・ポルガー)
 (Veilchen)
 
 
13.落第生(ステファン・ツヴァイク)
 (Ein Verbummelter)
 
 
14.ある夢の記憶(リヒャルト・ベーア=ホフマン)
 (Erinnerung an Einen Traum)
 
 
15.ファルメライヤー駅長(ヨーゼフ・ロート)
 (Stationschef Fallmerayer)
 
 
16.カカーニエン(ロベルト・ムージル)
 (Kakanien)
 
 
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「ウィーン世紀末文学選」です(・∀・)
 
 
私は色々興味を持っているものがありますが、最近自分の中でウィーンが熱いです。1880年代ウィーンを舞台にした短編ミステリを書くべく本腰を入れてこの時代のウィーンのことをよくもっと調べようと思ったのですが……しかしなかなか無いんですよねぇ……同じ時期の英国の資料は山のようにあるのに! 「世紀末ウィーン」は1895年からの芸術風潮なのでまだ早いし……英国と違い、この時代のウィーンは「語られることの少ない時代」でした。
 
 
まぁ、それでも当時のウィーン文化を全く知らないよりかはずっと良いだろうと読んだのが本書です。本書に収録されている作品も多くは1900年代なのでやはり先走り感ありますが、まぁ、それはそれで。
 
 
……見事に知らない作家ばっかり! 知っていたのはカフェ『ツェントラル』を郵便住所にまでしたという3のアルデンベルクと11のカール・クラウスだけでした。あとは誰も知らない……そもそも本書以外で名前を目にする機会があるのか無いのか。
 
 
もっとも治世が長かったフランツ・ヨーゼフ1世のハプスブルク帝国下で培われたウィーン文学……世紀末という言葉通り、何処の作品にも幻惑的な暗さが漂っています。それはまるでハプスブルク帝国の滅亡を予感させるような暗さです。この時代はクリムトやシーレといったウィーン分離派が現れた頃。彼らは新しい芸術と考え方を広めました。新しい考え方の台頭は伝統を持つハプスブルク家の衰退をそのまま指していたのかもしれません。
 
 
次次回からはそんなウィーンミステリも読んでいきますのでよろしくお願いします!
次はずーっと前に頼んで忘れていたやつです←(*^o^*)/