平野啓一郎 No.10◇あなたが、いなかった、あなた◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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貴方、貴女、彼方……死を意識する時、限りなく生を実感する。世界は常になんらかの『生の日常』に満たされている。

 
 

 
◇あなたが、いなかった、あなた◇
平野啓一郎
 
 
「老い」のために、少しずつ崩れ始めた肉体に戸惑う青年と、南国のリゾート地を突然襲った悲劇との交錯。――日常性の中に潜む死の気配から、今を生きる実感を探り出そうとする11の短篇集。小説家は、なぜ登場人物の「死」を描くのかという謎を、ノルマンディ地方の美しい風景の中で静かに辿る「『フェカンにて』」。経済のグローバル化のただ中で、途方に暮れる一夫婦を描く「慈善」など。
 
 
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1.やがて光源のない澄んだ乱反射の表で……/『TSUMAMI』のための32点の絵のない挿絵
 
 
2.鏡
 
 
3.『フェカンにて』
 
 
4.女の部屋
 
 
5.一枚上手
 
 
6.クロニクル
 
 
7.義足
 
 
8.母と子
 
 
9.異邦人#7-9
 
 
10.マノクロウムの街と四人の女
 
 
11.慈善
 
 
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「あなたが、いなかった、あなた」です(・∀・)
 
 
短編になる作者の本質が分かるとは言いますが、今回も平野啓一郎ワールド全開。文法的、視覚的な実験を行なっています。今回は粗筋の書けないものもあったので割愛させて頂きます、すみません。1のように一見関係のない事柄をくっつけたり、視覚に刺激を与えるやり方は平野啓一郎ならではです。革新的過ぎてついて来れないことも……やはり長編の方が良いなぁ……3は私小説らしい作品です。
 
 
……この短編集にはなんらかの死の影があります。命、存在、過去、地位、感情……1.8.9.10のように私たちの視点から行くと非現実的、ファンタジックに見える世界線にも死の影があります。……砂となって崩れる砂、違う世界線で同じ会話をリフレインする母と子、痛み無しで失われた右腕、色を失った世界、全てが死の影を示唆しています。私たちが実感できる死の影と生の充実はやはり11ですね。私たちと同じ視点で誰かの死を映しています。
 
 
「あなたが、いなかった、あなた」でした(・∀・)/
次も平野啓一郎を「ドーン」と行きます(*^o^*)/