ジュール・ヴェルヌ No.35◇氷のスフィンクス◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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その物語は決して空想の産物ではなかった! ピムとジェイン号船員を救出する一行に立ちはだかるのは氷、氷、氷!

 
 
 
◇氷のスフィンクス◇ -Le Sphinx des Glaces-
ジュール・ヴェルヌ 古田幸男 訳
 
 
南緯49度のゲルゲレン島で、ジョーリングは帆船ハルブレイン号の乗客となった。だが、船はさらに南を目指す。この”地の果ての島”の先には、氷と寒さと危険に満ち、人間の立入りを拒みつづける荒涼たる南氷洋が広がる。剛毅果断な船長に率いられ突き進むこの船は、何を捜し求めているのか………未踏の大地、南極大陸に想像の翼をはばたかせた、豪快な海洋冒険譚。幻の傑作、ここに文庫化なる。
 
 
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ケルゲレン諸島で地質調査を終えたジョーリングの関心は故国、米国に早く帰ることだ。その為には島をとっとと出たい様子のハルブレイン号の乗客になるのが一番手っ取り早い。しかし船長のガイ船長はけんもほろろにその要求をはねつける。しかしとあるきっかけから乗船が許可された。
 
 
ハルブレイン号はさらに南を目指しているようだ。それもそのはず、ガイ船長はポー唯一の長編冒険小説「アーサー・ピムの冒険」を実際に起きたものと思い、ジェイン号船員の救出を行おうとしていたのだ。しかしあれは空想だとジョーリングはガイ船長を狂ったと思うが、目の前のガイ船長はくだんのジェイン号のウィリアム・ガイ船長の弟だった! その他にもハルブレイン号にはジェイン号とアーサー・ピムに縁浅からぬ人たちが乗っていて……
 
 
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「氷のスフィンクス」です(・∀・) 
氷製のスフィンクスは出て来ませんが←当たり前だ 、スフィンクスのように聳える謎めいた氷山が登場します。最後では恐るべき力が明かされます←本当です。
 
 
さて。エドガー・アラン・ポーといえば「黒猫」とかのように怪奇! 短篇! 推理! のイメージが強いですが、その本に収録されているように長編も書いていて、この「氷のスフィンクス」はその続編として書かれました。「なんか覚えがあるような名前だ……」と思ったらそりゃ読んだことがあるんだから覚えてるよ! ヴェルヌは「あの話は実は本当だったんだよ」というスタイルでアーサー・ピムの不確かな未来を描いています。
 
 
波瀾万丈過ぎて読むもドキドキ!! ヴェルヌの海洋冒険物は歴史ものと違ってハッピーエンドで終わらないと全読者が死にますから、今回もきっとハッピーエンド!! と言い聞かせて読むのですが、南極冒険ならではの氷と寒さと食糧問題に加えてアーサー・ピムの物語上でのカニバ問題も加わって人間関係も緊迫しています。こういうのって緊急避難が適用されるのでしょうか……でも人道的にそれはまずいよなぁ……ダーク・ピーターズも辛かったはずなのに……そこにつけこんで仲間割れを起こしたハーン、許すまじ。
 
 
「氷のスフィンクス」でした(*^o^*)/
次はある家族の秘密が明かされる……?(*^o^*)/