ジュール・ヴェルヌ No.19◇必死の逃亡者◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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生きるために若者よ、逃げろ!

 
 
 
 
◇必死の逃亡者◇ -Les Triburations D'un Chinois en Chine-
ジュール・ヴェルヌ 石川湧 訳
 
 
時は太平天国の乱末期の清朝。上海の若い富豪、金馥は、株の大暴落によって全財産を失い、人生の無常を感じて大冒険旅行を思い立った。だが、彼の前途には様々な危険と恐怖と意表を突くどんでん返しが待ち受けていた! 広東から万里の長城にいたる膨大な中国大陸を舞台にした波瀾万丈の物語。ジャン=ポール・ベルモンド主演映画『カトマンズの男』の原作としても知られる傑作長編。 
 
 
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上海の若き富豪金馥(キンフー)はあまりにも早く全てのものを手にしまっていて無聊をかこうだけの退屈な日々を送っていた。元太平天国派の謀反者だった汪(カン)は残念に思いながらも家庭教師として金馥を見守っていた。
 
 
ところがその不幸ではないが、退屈な日々はサンフランシスコからの手紙で一変した。銀行が破産し、瞬く間に全財産を失ってしまったのだ! 金馥は悲嘆にくれて婚約者雷呉(レイウ)に婚約破棄の旨を告げ、自殺を含めたあらゆる死に保険をかけ、最後に汪に6月30日までに自分を殺すように告げる。その際、汪に罪が被らないように手紙を残すが、その直後、破産は誤報でそれどころかさらに大金持ちになったことを知った! しかし汪の姿は既になく……
 
 
汪は約束は違えない男。絶対にこの死の約束を果たす。こうして金馥は召使い孫(スン)、保険会社の探偵クレイグとフライの4人と中国中を逃げ惑うことになるーーー生きるために!
 
 
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「必死の逃亡者」です(・∀・)
又の名を道楽者の覚醒← いや、本当に! 読めば分かります! 映画を観ても分かると思います。
 
 
「驚異の旅」シリーズ、中国、初めての極東が舞台です! 何から何までが「東洋の神秘」のあの中国です。当時の中国の情勢、歴史、文化、地理が詳しく書いてありますが、ヴェルヌは生涯一度も中国には行ったことがなかったそうです。膨大な資料と想像力で書いたことになります。さすが!
 
 
ヴェルヌおなじみ、「驚異の旅」シリーズではありますが、主人公が道楽者という意味で珍しい話でもあります。そして度々出来過ぎ&有能マンな召使いたちが揃いも揃って無能という、こちらも変わっています。誰か意見したのかな。
本書は家庭教師の汪に追われることによって生きるという何物にも代え難い真の喜びを知っていくという手荒い教育を施される、31歳の男の波瀾万丈な成長物語でもあります。随分遅い教育ですが、そこは突っ込まない← 最後の最後に意外なオチが待っています!
 
 
 
「必死の逃亡者」でした(・∀・)/
次は久しぶりの北欧ミステリーです(*^o^*)/