SF文学に革命を！
◇ベータ2のバラッド◇ -The Ballad of Beta-2-
サミュエル・R・ディレイニー・他 若島正 編
〈ニュー・ウェーヴSF〉の知られざる中篇作を若鳥正選で集成。ディレイニーの幻の表題作、エリスンの代表作「プリティ・マギー・マネーアイズ」他、ロバーツ、ベイリー、カウパーの傑作全6篇収録。
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1.ベータ2のバラッド(サミュエル・R・ディレイニー)
(The Ballad of Beta-2)
……12隻の宇宙船で地球を離れた〈星の民〉。しかし目的地にたどり着いたのは10隻。残りの2隻は無人の難破船になり、その真相は分からない。その〈ベータ2〉に伝わる歌に真実はあるのだろうか……
2.四色問題(バリントン・J・ベイリー)
(The Four-Color Problem)
……地図を作る時、隣り合った領域が異なる色になるには4つの色が必要である。その問題にもう1色が加わった時ーーー
3.降誕祭前夜(キース・ロバーツ)
(Weihnachtsabend)
……ドイツが勝者になった世界。しかしファシズムの支配力は不安定だ。大臣の個人秘書官のマナリングは降誕祭前夜のホテルに潜入し……
4.プリティ・マギー・マネーアイズ(ハーラン・エリスン)
(Pretty Maggie Moneyeyes)
……ラスヴェガスで負け続けのコストナーはレバーを引いた。その瞬間、本物のジャックポットが何度も何度も出てきた。カジノ側が不審がるほど……コストナーはそのうち青い目に気がつく。それはこのマシンの前で死んだマギーの目だった。
5.ハートフォード手稿(リチャード・カウパー)
(The Hertford Manuscript)
……かつて英国の初期刊行本を扱った古書店を切り盛りした大叔母ヴィクトリアが亡くなった。彼女はわたしことフランシスにハートフォード図書館の蔵書を遺した。それにはなんとウェルズの傑作「タイム・マシン」のモデルになった男の手稿だった！
6.時の探検家たち(H・G・ウェルズ)
(The Chronic Argonauts)
……かつて殺人が起こり、無人になった家は今や自然に占領され崩壊寸前だった。そこにネポジプフェル博士という風変わりの男が越してきた。その男に対する好奇心と恐怖心はある男の死をきっかけに暴動に発展するがその博士が衆人の前で姿を消してみせた！
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「ベータ2のバラッド」です(・∀・)
これを読んでいる途中でブログ開設6周年をとうに過ぎたことに気がつきました。完全に忘れていたー！ これからも超マニアックなブログをよろしくお願いします！←雑
そんなわけで本書。ウェルズを目当てに読みましたが、残りの5作もなかなか曲者でした。
本作は「ニュー・ウェーブSF傑作選」。ニュー・ウェーブSFとは簡単に言うとパルプ黄金期を否定し、冒険家、発明家、技術者、科学者ではない、平凡な市民に焦点を当て、星間旅行や、異星人の生態や、銀河戦争などから成る宇宙の描写が無いのが特徴です。代表的な作家はJ・G・バラード。70年代には衰退しましたが、このニュー・ウェーブSFはタブーの打破や文学表現の拡大、さらには今まで評判の芳しくなかったフィリップ・K・ディック等の作家が注目されるなど歴史を作りました。
そんなわけで本書。1は失われた星間船にまつわる歌の本当の意味とあの時何があったのかを探る話。……いや2、分からない！ こんなにあらすじ描くの迷ったの初めてだよ……描くのやめようかと思ったよ……
3は「高い城の男」と同じIF世界のサスペンス。降誕祭前夜ってこんなことするのか……
4はスロットマシンに乗り移った女性の魂がしでかす恐ろしい出来事。
5と6は名作「タイム・マシン」のオマージュと原型。ウェルズ読んでから読むことを進めます。しかし6は原型とどめてないほど別物です。ウェルズは「タイムマシン」を描くにあたり何度も書き直しを行なったそうです。
「ベータ2のバラッド」でした(･∀･)/
次はシムノンの「新しい人生」です(*^o^*)/