アンネ・ホルト No.2◇土曜日の殺人者◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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血まみれの現場の犠牲者は一体誰? その後ろで娘の仇を取るため、父の孤軍奮闘が始まる。

 
 
 
◇土曜日の殺人者◇ -Salige Er de Som Tørster……
アンネ・ホルト 柳沢由実子 訳
 
 
オスロの記録的に暑い春の夜。現場に大量の血が流されているのに犠牲者がいない。不可解な三つの事件が起きたのは決まって土曜日。同じ頃、女子学生が自室で金髪の男にレイプされる。娘の父親は復讐を誓って男を捜しはじめたが、一方、美人警部補ハンネはこれらの事件の共通項を見つけだす。そこにはノルウェーの社会の歪みが隠されていた。
 
 
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大量の血。明らかにこれは事件現場だ。しかし殺人にしろ事故にしろここには絶対にいなければならない「犠牲者」の姿がどこにもない。量からして犠牲者は1人ではない。しかもこの大量の血が残された事件はこれで3回目で決まって土曜日に起こっているのだ。誰が、何のために。そして「犠牲者」は一体どこに?
 
 
同じ頃、オスロの女子医学生クリスティーネが自宅で襲われる。父親フィンはなかなか成果を上げない警察に見切りをつけ、自力で犯人を見つけ復讐しようと企む。地道な聞き込みはやがて身を結び……
 
 
オスロ市警警部補ハンネは連続はこの巷を騒がす「土曜日の殺戮」事件ではなく、強姦事件を担当することになった。ところが女性の遺体が見つかり、様々な事件を抱えてんやわんやのオスロ市警はますますてんやわんや。ハンネもこの事件を担当することになる。しかしこの事件には「土曜日の殺戮」と強姦事件を繋ぐ思わぬ手がかりがあった!!
 
 
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「土曜日の殺人者」です(・∀・)
これの2巻目です。ですが実直なホーコン・サンドはほとんど出て来ず、代わりに私生活面で大きな秘密を持つハンネ・ウィリヘルムセンが目立っています。……もしかしてこのシリーズ主人公はホーコンではなく、ハンネなのか!?← 
 
 
北欧ミステリーは社会派なので扱うテーマがはっきりしています。今回のテーマはズバリ移民と女性暴力。
「湿地」を読んだ時も思いましたが、現代では先進的な考えを持つ北欧でも差別的な思想や女性蔑視の考え方ってあったんだな……男と女の考え方の差異、重すぎる被害に軽すぎる罰。社会の歪みが生んだ膿はこんなところで噴き出しています。ハンネの憤りと怒りはまさに作者ホルトの言葉です。
 
 
あとクリスティーネの父親フィンの行動に涙腺崩壊。娘がひどく傷つけられ、何もできない自分を責め、ひたすら手がかりを探し、復讐を誓う父親……なんか東野圭吾を思い出しましたがまさにあれかと。主人公をハンネではなく、父親フィンを主人公にしてもこの話は面白かったと思います。オスロ警察VSフィンみたいな。
いやー……初めて犯人に対して「死んでくれ」と思ったわ……手前は女性を馬鹿にしているのか? 少なくとも人間とは思ってないな、犯人の悪あがきがクソ過ぎて吐き気すら覚えた……いや、思ったって良いよね!?
 
 
さて我らが主人公ハンネ。綺麗で人当たりいいけど私生活面で徹底的にシャットダウンする彼女。恋人セシリーは連日残業のハンネにイラついているし、同僚ビリー・Tと何やら急接近の予感でハンネの何かが変わりそうな予感。もしかしたら3巻目は主要キャラクターが誰かいないかもしれない←
 
 
「土曜日の殺人者」でした(・∀・)/ 
次はあの男が! ついに! 有終の美を飾ります!!(*^o^*)/