ロバート・A・ハインライン No.36◇フライデイ・上◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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戦闘伝達使として戦う"人工人間"フライデイに自分を肯定してくれる居場所が見つかるだろうか?

 
 

 
◇フライデイ・上◇ -Friday-
ロバート・A・ハインライン 矢野徹 訳
 
 
あたしの名前はフライデイ。職業は戦闘伝書使―秘密文書を正確かつ迅速に運ぶのが任務。でも、この仕事は危険がいっぱい。先日も謎の武装集団に捕えられ、手ひどい拷問を受けたばかりだ。はやく休暇を取って、ニュージーランドに住む3人の夫のもとに帰りたい。だけど、彼らはどう思うだろう。あたしが遺伝子操作で作られた人工人間だと知ったら…ハインラインの著作中、最も魅力的なヒロインが活躍する傑作長篇。
 
 
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あたしはフライデイ。どの組織のために、どの信念のために働いているかを知る必要はない。あたしは唯一の上司"ボス"の命令を受けて秘密文書を速く運ぶのが仕事だ。人工人間故に特別強化された記憶能力、計算能力、身体能力を活かし、人間の心身なら到底耐えられない拷問や戦闘を潜り抜けてきた。
 
 
すんでのところでボスに救出されたフライデイは休暇をもぎ取って共同家族が住むニュージーランドに帰った。しかし娘のヘレンの(家族にとって不本意な)結婚がきっかけでフライデイは自らが"人工人間"であることを明かしてしまい、契約違反として追い出されてしまう……
 
 
傷心のフライデイはニュージーランドに帰る途中で出会ったパイロット、イアンとその家族のところにお世話になった。その直後、「赤い木曜日」と呼ばれる世界同時テロが勃発し、全ての国境は封鎖され、全ての通信は絶たれ、今までの平和は一気に崩壊する。フライデイはボスと連絡を取るべく国境を越えようと決意する。
 
 
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「フライデイ・上」です(・∀・)
映画「ワンダーウーマン」のヒロインのような強くてカッコ良い美女が登場します。名前はフライデイ。変わった名前の彼女は並外れた記憶能力、計算能力、身体能力をフルに発揮して苛烈な戦闘を繰り広げています。しかし彼女は試験管とメスによって遺伝子操作を施された、いわゆる「人工的に作られた」人間だという秘密があって……
 
 
ここで出てくる人工人間はロボットのようにあからさまに人間ではない、という見かけではなく、見分けるのは非常に難しいと作品では言及されています。それなのに人工人間は人間ではない、なんて差別されるなんて……フライデイを通して人間とは? 人間性とは? が説かれています。ハインラインはすでに超長寿の人間を通して「人間とは?」をわたしたちに問いかけていますが、また新しい「人類」を登場させました。人種差別に憤慨する心を持ちながら、人間ではないと否定され、人権はないものと看做されるなんて……読んでいてフライデイは家族や友達といった人間との繋がりを切望しているように見えたので余計悲しいです……
 
 
上巻はなんとかボスと連絡を取るべく、まさかの兵士になります。下巻ではどうなることやら……(*^o^*)/~