徳田秋聲 No.1◇あらくれ◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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手に職を持ち、自分の力で生きていきたいーーー新しい生活を夢見る女性の荒々しい生き方!

 
 

 
◇あらくれ◇
徳田秋聲
 
 
年頃の綺麗な娘であるのに男嫌いで評判のお島は、裁縫や琴の稽古よりも戸外で花圃の世界をするほうが性に合っていた。幼い頃は里子に出され、七歳で裕福な養家に引きとられ十八歳になった今、入婿の話に抵抗し、婚礼の当日、新しい生活を夢みて出奔する。庶民の女の生き方を通して日本近代の暗さを追い求めた秋声の、すなわち日本自然主義文学を代表する一作。
 
 
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「あらくれ」です(・∀・)
無事金沢に着きました。1人には些か広いホテルの一室でブログを書いています。日にちは23日ですが、読み終わって記事を書いているのは一昨日の21日の夜です。なのでこの記事がアップされている頃にはもう帰路です。ゆえに犀星は帰りの新幹線で読むことになりそうです←おい
 
 
石川三大文豪の2人目は徳田秋聲です。泉鏡花と同じく尾崎紅葉の弟子でこれまた「葉門の四天王」と呼ばれるまでになりました(あとの2人は小栗風葉と柳川春葉です)。しかし秋聲は鏡花のように尾崎先生を神格化せず、現実的に一線をかしていた上に後々鏡花を不遇の身に堕とす自然主義文学を書くことになります。ぶん殴りあいをするほど鏡花とは不仲でしたが、鏡花の弟が秋聲のアパートで死んだのをきっかけに和解したようです。
 
 
徳田秋聲は3人の弟子の中でも作風が地味で「地味だね」言われ続けましたが、島崎藤村、田山花袋、国木田独歩のように自然主義文学でその地位を確立しました。花袋も間接的に師は尾崎先生なので繋がりがありますね。
 
 
鏡花も秋聲は最近ゲームの「文豪とアルケミスト」で最近知名度が上がりました。中にはサブカルチャーをきっかけに文学に興味を持つことをよく思わない人がいるようですが、きっかけはとことん追求するとどうでも良くなるので肝心なのはにわかで終わるかそれともとことん追求するまでになるかだと思うのでゲームや漫画で文学を興味を持った人はてんで気にしなくて、そのままで良い。とわたしは思います。だってわたしだって推理小説を読み始めたきっかけはスーシェさんだし! ちなみに「文アル」やってません。もともとゲームしない上にやったら最後廃人になるのが目に見えてる←
 
 
さて。秋聲は硯友社では地味的存在でしたが←、自然主義文学では群を抜き、田山花袋、国木田独歩、島崎藤村と並ぶ大家です。その評価は高く、あの川端康成に「日本の小説は源氏にはじまって西鶴に飛び、西鶴から秋声に飛ぶ」、「日本の小説は西鶴から鷗外、漱石に飛んだとするよりも、西鶴から秋声に飛んだとする方が、私にはいいやうに思ふ見方である(中略)」と言わしめています。……つまり秋聲の文学は紫式部と井原西鶴と同格なのか! なんでその説が知られていないんだ……自然主義文学が廃れてしまったからか? 今日で知られている自然主義文学って花袋と藤村? 内容がヘビーでスキャンダラスだからか!?
 
 
そんなわけでそんな秋聲の傑作は本書「あらくれ」です。内より外が好きな独立心旺盛な女性お島という女性が主人公です。結婚が嫌で養家を出奔し、その後の結婚も夫の浮気でうまく行かず、その後「自分の力で働いて稼いで生きたい」と小野田という男と再婚して洋服屋を営むが……のまさに文字通り「あらくれ」な女性の半生です。新聞連載当時は大正4年。大正デモクラシーとかは有りけれど当時としてもかなり先進的な考えだと思います。自分で稼ぐ、奴隷にならない! 自分で銭を稼ぐ!というところはスカーレットのようにも見えるぞ。お島はものすごく強かですが、それを悪女と見ることはできません。
 
 
「あらくれ」でした(・∀・)/
秋聲作品はあと「黴・爛」が手元にあります。頑張って読むぞ〜!(*^o^*)/~