泉鏡花 No.2◇高野聖・眉かくしの霊◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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美しい怪奇と幽幻ーーー鏡花の真骨頂!

 
 

 
◇高野聖・眉かくしの霊◇
泉鏡花
 
 
北陸敦賀の旅の夜,道連れの高野の旅僧が語る,若かりし日に僧が経験した飛騨深山中の怪異陰惨な行脚物語.「高野聖」は自由奔放な幻想の中に唯美ロマンの極致をみごとに描き出した,鏡花文学の傑作である.併収の「眉かくしの霊」は木曽街道の旅話に怪談的詩境を織り込んだ作者晩年の佳作.
 
 
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1.高野聖
   ……敦賀に帰省途中のわたしは高野山の旅僧と出会い、その馴染みの宿に一緒に泊まることになった。その旅僧が話してくれた摩訶不思議な女の話とは……
 
 
2.眉かくしの霊
   ……予定外の宿に泊まった境はそこで食べた鶫料理であることを思い出す。境は宿にしばらく逗留することにしたが、その宿には人ならざる女性がいるようで……
 
 
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「高野聖・眉かくしの霊」です(・∀・)
近々また金沢に行くことになりました。今度は雪ではなく雨が心配ですが、歩き回るその日はなんとか晴れのようです。良かった。
 
 
わたしはたびたび1人で旅行に行くのでせめてその時だけでもミステリーやSF以外の別ジャンルを読もうとその時思い立ちました。対象はその場所所縁の作家か、そこを舞台にした作品。且つ近代作家。
 
 
調べてみて金沢は尾崎紅葉の愛弟子、泉鏡花と徳田秋聲、そして詩人の室生犀星の出身地であることが分かりました。3人ともまた最近知名度が上がっています。こうして鏡花2作、秋聲2作、犀星1作を読むことにしました。これからしばらくよろしくお願いします。
 
 
金沢ーーーというか石川県文豪の筆頭に上がるのは幻想作家の大家、泉鏡花です。後年は自然主義文学が流行って時代遅れの作家呼ばりされましたが、影響を受けた作家は数多く、独特の幻想怪奇は他の追随を許しません。
 
 
鏡花第1弾として紹介する「高野聖」はそんな鏡花の最高傑作です。
読んでこれは確かに独特の幻想怪奇だと思いました。雪の夜、限りなく深い白と黒、寂寥とした寒々しさ、夏の夜、透き通った青と緑、神々しいほど清涼ーーーに一足踏み入れた先は異境。
というか文章そのものが流暢でものすごく綺麗です。この文章が鏡花の持ち味なら確かにこれは鏡花にしか書けない。というかこの文章の良さが分かるのは我々日本人だけではないでしょうか。
もし、これを翻訳でもしたら、鏡花のこの文体がもたらす幻想怪奇はおそらく半分も伝わらない。中島敦、流石です。
 
 
2の「眉かくしの霊」はお化けを信じた鏡花らしい作品。女性とはいえ、幽霊に化粧をさせ、「似合いますか」を言わせるとは。なぜかここでものすごく流石は鏡花。と思いました。小道具に桔梗を選ぶのも良い。鏡花の書くお化けも魔物も女性なら美しい!?
 
 
「高野聖・眉かくしの霊」でした(・∀・)/
次は鏡花と芸術です(*^o^*)/~