復讐の完遂まであと少し。男は永遠の愛と喪失に慟哭し、"モグラ"になったーーー
◇ザ・サン-罪の息子-・下◇ -The Son-
ジョー・ネスボ 戸田裕之 訳
警戒厳重な刑務所から脱獄し、父を陥れ自分を騙した者どもを次々と殺していくサニー。一方、オスロ警察のベテラン警部シモンは、このところ続く殺人が実は連続殺人で、そこには隠された規則性があることに気づく。また、犯罪組織側も、サニーを消すため追い始めた。警察と犯罪組織、双方に追われながらサニーは復讐を完遂できるのか―。現在の北欧ミステリーを牽引するネスボの渾身作！
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カーリとシモンは立て続けに起こった殺人事件の被害者同士が知り合いだったことを突き止める。もし、そうならこれは始まりに過ぎないーーー
サニーは冷凍庫や犬も使い、着々と復讐を完遂させようとするが、シモンらオスロ警察と"ザ・トウィン"ら犯罪組織の両者から追われる。サニーはあるものをシモンに送り、DNA検査を要請する。そこから浮かび上がる過去の事件の真実とは。
エルセの眼は早急の手術をしないと失明してしまうところまで悪くなっていた。しかし金がない。シモンがたった1人である人物のところへ。その人物"ザ・トウィン"のところにサニーも急行する。その時、サニーの仇"モグラ"の正体が明らかになる！
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「ザ・サン-罪の息子-・下」です(・∀・)
怒涛の展開とスピードで以って話が結末に向かいます。読み進める手が止まりません。色々な人たちの思惑、感情が錯綜して映画みたいにスリリングです。
そして。ぶっちゃけ"ザ・トウィン"の正体はたいした問題ではなかった。"モグラ"の正体に比べればこんなの端役に過ぎなかった。
あんただったのか。息が止まるかと思いました。しかしそれと同時にものすごく納得した自分もいました。わたしは「それ」を警察ゆえの必要悪として知っているんだと思っていました。そしてそれを踏まえると「どうしてこれはノン・シリーズでハリーではダメだったんだろう」という疑問の答えが出るのです。
確かにハリーじゃダメだった。
事件収束後、彼が"モグラ"に成り果てた顛末がある人物の口から語られます。こういう語り方は北欧ミステリーに多いパターンですが、話の内容も語り手も切なくて心臓が抉られます。淡々としているけど落胆も葛藤も苦しみも滲み出ていて、けれど話している人はそんな感情を表に出ていないから聞いているわたしはなんてことのないと言わんばかりの顔をするしかない。とことん虚しくて目を背け、俯きたくなる。
本書で一応翻訳されたジョー・ネスボ作品を全て読破しました。これからは新刊を待ちつつ、出版社順にノルウェー・ミステリーを読んでいこうと思います。
「ザ・サン-罪の息子-・下」でした(･∀･)/
次は〜……近日、逃亡という名前の旅行でまた金沢に行くので石川三大文豪作品を5作読んでいきます。まずは！ この人！(*^o^*)/~