理より感の芸術肌ライスキーらを通して書かれる変動期を迎えるロシア。
◇断崖 1◇ -Обрыв-
イワン・ゴンチャロフ 井上満 訳
『平凡物語』『オブローモフ』に続くゴンチャロフ(1812-1891)の最大長篇。主人公ライスキーを中心に、古きロシアを体現する祖母、新思想に惹かれるヴェーラ、ニヒリストのマルク等を登場させ、農奴解放を遠からず控えた変動期ロシアの姿を描く。
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前回登場したプシュキンを追いかける敦くんと芥川。トロッコと半人半虎でやっと追いついた! ところで巨大な岩巨人に阻まれてしまいます。
操っているのはこいつ。イワン・ゴンチャロフです。《死の家の鼠》の構成員。ドストエフスキーの忠実なる下僕です。ただ忠実過ぎて、ドストエフスキーの命令なら顔の皮を剥ぎかねない、ドストエフスキーによって脳の不幸を感じる部位を切除されている狂人です。危ない人です←
そんな彼の異能は【断崖】。礫岩を操る岩巨人を操り、人を模して土人形を作ることができます。地の利を活かす異能なので地上戦だとかなり有利に立てます。岩巨人もかなり強固なので敦くんと芥川も苦戦します。最終的に敦くんの隠し技異能そのものを割く虎の爪、芥川の天魔纏鎧によって捕縛されますが、その廃炭鉱にドストエフスキーはおらず……ってなんだよ、この敗北感……最終的にドストエフスキーを捕まえたのは策略家、太宰さんと意外なあの人物でした。
ゴンチャロフは今後出てくるのでしょうか……ドストエフスキーのことだからゴンチャロフを身代わりにするくらいやりかねない……ドストエフスキーはここで捕縛されますが、絶対裏があるし、死んだと見せかけることぐらい朝飯前でしょうね。
「文スト」考察は15巻が出たらやるとして、今は『断崖』に入りましょう。
『断崖』はあらすじでもあるようにゴンチャロフの最大長篇にして最後の長篇です。知名度と反響度は『オブローモフ』の方が高いようですが、『文スト』では本作を使用。
まだ1巻しか読んでいないので作品の全貌は全く見えていません← 理より感を重んじる中途半端な芸術肌ライスキーを中心に、家という内側の世界に閉じこもる従姉妹ソフィア、昔気質の祖母タチヤーナ、世渡り上手でそつのないアヤーノフらを通して一気に近代ロシアを激変させる農奴解放を控えたロシアを描いています。
読んでいてソフィアに訴えるライスキーが農奴にロマノフ王朝の腐敗を訴える急進派に見えました。
ライスキーが裕福な身分なので(半ばニートだし)都会的な一面しか見えませんが、1巻はタチヤーナのところへ向かうところで終わります。そこでライスキーは何に出会うのでしょう。この作品に関しては予備知識ゼロなので予測不可能で楽しみです。
そんなわけで行くぞ、2巻(*^o^*)/~