ジョルジュ・シムノン No.28◇汽車を見送る男◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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汽車を見送った後、破産した男はどんどん転落するーーー

 
 
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◇汽車を見送る男◇ -The Man Who Watched the Trains go by-
ジョルジュ・シムノン 菊池武一 訳
 
 
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オランダの港町グローニンゲン。そこのデ・コスター商会で働くキース・ポヒンガはそこの社長デ・コスターから商会が破産することを聞かされた。ポヒンガはそこに全財産を投資していた。彼は破産した。死んだことにして再起を図るデ・コスターが乗る汽車を見送るポヒンガ。
 
 
それがきっかけでポヒンガの精神の箍が外れたのだろうか。ポヒンガはデ・コスターの情婦パメラを衝動的に殺し、逃亡を図る。途中知り合った情婦ジャンヌに助けられ、隠れ家を紹介してもらうが、そこからも逃げ出してしまう。
 
 
ジャンヌも襲ってしまい、転々と逃亡するポヒンガ。新聞に「狂人」「偏執狂」と書かれる中、ポヒンガは警察や新聞社に手紙を書いて「訂正」するが、事態はどんどん狂っていく。そしてポヒンガ自身もだんだん分からなくなっていくーーー
 
 
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「汽車を見送る男」です(・∀・)
 
 
本書も「運命小説」の1冊でこれまた映画化されています。……ってここまでくるとシムノンは推理小説家を通り越してフランス文学の文豪レベルです。シムノン祭やって「シムノンってメグレ警視の生みの親だけじゃなかったんだ……」と思わずにはいられません。これらが日本ではてんで知られていないのが不思議です。
 
 
今回は衝動的に殺しをしでかしたポヒンガの精神の危うい均衡を書いた犯罪心理小説でドストエフスキーの「罪と罰」と通じるところがあります。理由のない衝動、本人も説明できない言動……ラスコーリニコフかいな。
なんてことのない普通の日々に転落の落とし穴があり、その中に人は世間と他人に対する不条理と矛盾を見る……
 
 
わたしはとにかくその作家の作品は全て読破することを前提にしているので例えジャンルがミステリーでなくても目的の作家なら読むことになります。他ジャンルを読むと意外な一面や知らなかった一面を見られて大変面白いです。
 
 
これにてシムノン祭は終了です! あ〜、メグレものが読みたいです← メグレ警視が恋しいです。
「汽車を見送る男」でした(・∀・)/
次は密室ものが一堂に会します(*^o^*)/~