ジョルジュ・シムノン No.22◇仕立て屋の恋◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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孤独で嫌われ者の男が見た恐ろしいものーーー愛と破滅の物語!

 
 
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◇仕立て屋の恋◇ -Les Fiancailles de M.Hire-
ジョルジュ・シムノン 高橋啓 訳
 
 
ひとりの娼婦が殺された。嫌疑をかけられたイール氏は、隣近所の誰からも嫌われている孤独な独身男だった。極端にきれいずきな彼の唯一の楽しみは、アパートの向かいに住む若く美しい娘アリスを覗き見ること─夜ごと部屋の明かりをつけず窓辺に立って彼女の様子をながめ、静かに恋の炎をたぎらせていた。ある夜、彼は恐ろしい出来事を見てしまったことから、人生の歯車を狂わせはじめる……愛と誘惑、謎と裏切りの物語
 
 
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娼婦殺しが起こり、ロシア系ユダヤ人のイール氏が疑われた。先日不審な行動をとっており、顔に大きな傷を負っていたのだ。
 
 
そんなイール氏には1つ楽しみがあった。向かいのアパートに住む女を覗き見することだ。イール氏は彼女が定期的に恋人らしい男と外出することも知っていた。ーーーそしてその男エミールこそが娼婦殺しの真犯人であることも。
 
 
女アリスは覗き見するイール氏に気づき、接近する。アリスを愛するイール氏は2人で逃げようと手紙を渡し、駅で待ち合わせようとするが……
 
 
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「仕立て屋の恋」です(・∀・)
 
 
シムノン作品には「運命小説」と呼ばれるジャンルがあります。平凡な人たちが劇的な出来事によって道を踏み外し、犯罪者になってしまったり、その人生を崩壊させてしまう様を描いたもので本作はその1つです。
殺人を目撃してしまった男、愛した女がそれに関係している、その上イール氏を見捨ててしまうという残酷さがシムノン特有の侘しさと共に突きつけます。
 
 
イール氏は「罪と罰」のラスコーリニコフと同じく理由ない、衝動的な行動を取ります。ラスコーリニコフは長ゼリフでイール氏は行動でそれを表します。不条理とも言える不可解さ、理由なき衝動はあとがきにもあったカミュの「異邦人」と通じるところがある気がします。
 
 
シムノンの「運命小説」いわば純文学作品は何本か映画化されています。本書もそうだし、後々登場する「倫敦から来た男」、「港のマリー」もそうです。こりゃ、映画も観ないと!
 
 
「仕立て屋の恋」でした(・∀・)/
次は「ホックだよ、全員集合!」!?(*^o^*)/~