家族の誰かが嘘をついている。そこに真実がある!
◇偽証裁判・下◇ -The Sin of the Wolf-
アン・ペリー 吉澤康子 訳
ニューゲイト監獄に送られたヘスターの絞首刑を防ぐため、真犯人を突き止めようとファラリン家を調べるモンク。だが、手がかりは皆目つかめない。さらに頼みの綱である法廷弁護士ラスボーンは、スコットランドで裁判が開かれるため、ヘスターの弁護人として法廷に立つことができない。窮地に追い込まれたヘスターを救う手立ては? そして裁判を経て明らかになる事件の真相は?
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ディアドラとアイリッシュの謎の行動は事件とは無関係だった。ディアドラは空飛ぶ機械を作ることに夢中になり、アイリッシュは夜、無学の大人に字を教える非公式の学校を開いていたのだ。しかしアイリッシュはベアードからファラリン家の本を家には無断かつ彼の独断で融通してもらっている。動機はそれがメアリに露見したからなのか?
決定的証拠がないまま、ヘスターの裁判が始まった。ヘスターの人物像をよく知る、あのナイチンゲールを巻き込んだ裁判は義理兄弟のクィンランのベアード告発によって、ヘスターは証拠不十分で釈放、疑惑の目はベアードに行くことになった。
家族会議の結果、ケネスが金を愛人にプレゼントするブローチにあてたこととそれをメアリに立て替えてもらったこと、ベアードが過去の罪でゆすりをかけられていたことが分かる。男を小作農地に貸し、住まわせたことも、それをメアリになんとかしてもらったことも。疑惑の目がベアードに行く中、ヘクトルが意味深な発言をする。
安息日。モンクはヘクトルの言葉が気にかかる。ヘスターは2人で乗り込んでみようと提案し、モンクはそれに乗る。行った先で2人が目にした真実とはーーー!?
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「偽証裁判・下」です(・∀・)
これのあらすじ書いている間、「これ、家系図ないと説明できない……!」ということに気がついてしまいました。確かにファラリン家の一族が全てを語るのにまずい! ということで前回の最後に家系図を追記しました。どうぞ、ご参照ください。あ、ちなみに女性にはトーンがかかっています。
本書の目玉はずばり裁判です。前作と同じ。会話とか聴衆の反応とか本当にリアリティーに富んでいます。……しかし時々思うのが、どうして検事はいつも悪役に見えるんでしょうか。今回の検事ギルフェザー。ヘスターに偏見持っているのがもろに分かったし、なんか陥れようとしているとしか見えないぞ……人間的にも矮小だし←
あとモンクシリーズーーーというかモンクのが生きたヴィクトリア王朝中期時代の著名人、ナイチンゲール、初登場! シリーズ通して1回は必ず名前があがりましたが、実際に登場し、話をするのは初めてです。ヘスターの人物像を証明するために召喚されましたが、ギルフェザーに一喝するところはスカッとしました(笑)
さぁ、ヘスターが犯人な訳がないんだから犯人はファラリン家の誰かです。家族のほとんどが秘密を抱え、微妙な空気を作っています。ケネス、アイリッシュ、ベアードと疑惑が写りーーーまさかそう来るとは!
やはりこの事件も一族そのものに真実が隠されていました。というかえげつない。人身御供かよ! 人でなし! 騙された! まさかの犯人。モンクと一緒に地団駄踏みたいですよ。
その一方、あらゆる箇所に散らばっていた一見無関係な事実が集結して実は一本の真実に繋がっていた、というところは実に爽快です。
爽快といえばモンクとヘスターの一種の破壊工作が話の中で1番爽快です(笑) 喧嘩ぶっ放しの2人が唯一笑いあったところ。
関係が進展しました。まさかの← 極限状況だからこそ、気持ちを確かめることがでしたというかなんというか。キャー。だからこそ2人の間に何があるかを決定的に思い知ることになります。2人はやはり良い友人同士、なのです。次、ラスボーンと顔を合わせた時の2人の様子が楽しみだったりします←
今回はモンクの記憶喪失の話があまり出てきませんでしたが、下巻になって少し出てきました。挫折と悔しさの記憶……これもモンクを形成した一部分。さらに原題にもなった「狼の罪」。ダンテに言及されるそれをモンクはどこで覚えたのか? または誰に教わったのか?
モンクはまだまだ取り戻されなければならないものが多すぎます。その彼の隣にヘスターがいてくれると良いのですが。
一応、翻訳されているアン・ペリー作品を全て読み終えました! あとは新しい翻訳作品を全裸待機! 次から読書の輪外はイーデン・フィルポッツに行きます! お楽しみに。
「偽証裁判・下」でした(・∀・)/
次もクロフツではなく、久しぶりのデンマークに行ってきます(*^o^*)/~