兄を探して欲しいという些か不可解な依頼はマーロウを裏のハリウッドに誘う。3人の「可愛い女」がマーロウを囲む。
◇リトル・シスター◇ -The Little Sister-
レイモンド・チャンドラー 村上春樹 訳
「行方不明の兄オリンを探してほしい」私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、二十ドルを握りしめてそう告げた。マーロウは娘のいわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受ける。しかし、調査をはじめた彼の行く先々で、アイスピックで首のうしろをひと刺しされた死体が…。謎が謎を呼ぶ殺人事件は、やがてマーロウを欲望渦巻くハリウッドの裏通りへと誘う。『かわいい女』新訳版。
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マーロウのところに可愛い女の依頼人オーファメイがやってきた。「兄のオリンを探して欲しい」と、20ドルを握りしめて。秘密めいて不可解な態度は気になるが、最終的に引き受ける。
オリンのアパートに行くが、オリンはおらず、そこの管理人がアイスピックを突き立てられて殺される。さらに電話がかかってきて言われた先のホテルに行くなり女に襲われ気を失う。その部屋にはまたアイスピックが刺さった遺体がありーーー
死んだ男はかつらの下に写真店の受取りを隠していた。いざ受け取ってみるとその写真は男女がしょくじをしている写真。女の方は女優メイヴィス・ウェルド。男の方はーーー
可愛い女の依頼から始まった兄探しはマーロウをハリウッドの裏世界へ導いた。
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「リトル・シスター」です(・∀・)
単純な依頼がどんどん混沌じみてくるパターンです。
おかしいな。最初は兄探しだったはずなのにいつの間にか映画界ハリウッドを舞台に暗殺されたギャングの謎やら写真の秘密やら……
解説でもありましたけどなんでマーロウは女優メイヴィスがオーファメイとオリンの姉だと分かったんでしょうか。顔か？ オーファメイとメイヴィスは父親似だったんでしょうか。これは極端で明らかに矛盾点の1つですが、チャンドラーは時々説明無く大胆な結論に達するのでついていけません……← ちょっとでも集中力が切れるとあっという間に置いてかれます←
チャンドラー作品は「事件の影に女あり」をほぼ全作品で貫いてますが、本書は原型その「女」が3人も出てきます。オーファメイとメイヴィス、メイヴィスの友達ドロレス。みんながみんな、秘密を持っています。繁華街の、街灯も当たらない裏路地のような暗い秘密を。
女3人の描かれ方が良いんですよねぇ。3人とも強烈で。3人ともマーロウに猛烈に反発して猛烈に惹かれますが、言葉の1つ1つが気障で洒落ています。だから口論もなんか洒落て聞こえます(笑) 3人の女もマーロウも映画のように鮮やかで、火を見るように目が離せなくなる。
「リトル・シスター」でした(･∀･)/
次はフレンチ警部は出ますが、フレンチ警部が主役じゃないフレンチ警部ものです←え