アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー No.4.5◇宇宙のランデブー 4・下◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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ついにクモダコたちは人類に対して反撃し、ラーマ人は再び人類の前に姿を現す。中核点でニコルの命に終わりが近づいていたーーー

 
 
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◇宇宙のランデブー 4・下◇
アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー 冬川亘 訳
 
 
無事に脱出を果たしたニコルとリチャードたちに救いの手をさしのべた謎のレインボー・ピープル、なにがおころうといかなる干渉も行なわず、ただ観察を続ける神秘につつまれたラーマ人、遙かなる旅路のすえに、中核点にもどったニコルたちに明かされるとてつもない驚異…巨匠クラークが、G・リーの協力を得て紡ぎあげた壮大な物語は、さらに加速度を増しながら、思いもかけぬ驚異のクライマックスへと突き進んでゆく。
 
 
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ニコルはクモダコのビデオを見てケイティーの有り様に打ちのめされる。ついに両種属間での戦争が現実化し、クモダコたちは交渉しようと考える。リチャード、ニコル、ニッキー、アーチーがそのメンバーに選ばれるが、ナカムラたちはその交渉も撥ね付け、決裂し、リチャードとアーチーは殺されてしまう。
 
 
クモダコたちはついに反撃に出た。老いている、または不健康な人間には耐えられない薬剤兵器を巻いたのだ。その一方、ケイティーは自身の命を対価にナカムラを暗殺した。
 
 
爆撃の中、赤子を救ったニコルはイーグルと再会する。ついにラーマが干渉したのだ。人類は強制的に眠りにつき、ヒトデ型宇宙機へ。人類は未だクモダコたちを恐れ、中でもナイの息子ガリレオは反抗し、隔離されてしまう。
 
 
イーグルたちは人類を2グループに分ける計画を立てていた。中核点へ行くグループと航空母艦へ行くグループと。その決定で唯一航空母艦へ振り分けられたガリレオと共にナイ、パトリックも航空母艦に変更し、永遠に別れることになる。
 
 
ニコルにも最期の時が近づいていた。ニコルは全ての治療行為を中止し、その死を受け入れることにした。発見のスリルを味わい、それを理解してからーーー……
 
 
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「宇宙のランデブー 4・下」です(・∀・)
 
 
前半は人間とクモダコ間の戦争、後半はイーグルたちラーマ勢による新たな計画が始動します。
ケイティーに同情を感じていたわたしとしては、父さんリチャードに会うところとその死を知ってナカムラを暗殺するところに涙でした。結局ニコルと和解することはなかったですが、もはやその段階を通り越していたのかもしれません。いや、ナカムラを暗殺してリチャードの仇を取ることでニコルと仲違いしていたこととも、そんな自分とも決着をつけたのかもしれません。
 
 
ラーマ戦争はひたすら武力行使で引きました。ナカムラ、あんた……征夷大将軍ってそこからして死亡フラグって分かってんだろうか……あとクモダコもそりゃ交渉が決裂したからっていきなり化学兵器とか……リーってアメリカ人? やっぱり日本でなんかあったの?
 
 
本当に圧巻だったのは後半。ラーマ勢によって強制的に眠りにつかされたその後。再び篩い分けされる中、自身の命に終わりが近づいたと悟ったニコルは航空母艦に行くパトリック、ナイ、ガリレオと永遠の別れを告げます。ここで決別なんて……なんかナイってラーマに振り回されてばっかりだったような……本当にかわいそうになってきました。
またロバートとガリレオも。ロバートはともかくとしてガリレオまでそうなってしまうとは思いませんでした。確かにわんぱく過ぎるところもあったけど「そりゃ、男の子なんだし、大人になれば落ち着くだろ」と思っていたので……また篩い分けの基準も傲慢で気に入らんのですよ。そりゃ、ラーマに比べりゃ、人間なんて広大な宇宙の一欠片かもしれませんが。
一方で永遠に会えないと思っていたシモーヌとマイケルと再会します。良かった、生きてて← 
 
 
また家族、友人、異種属との愛情、友情に泣けてきます。もう、アーチーが殺されるところとか……! 特殊過ぎるほど特殊な環境で育った愛情と友情があったからこそみんな生きていけたわけで。諍いや決別もあったけど、その感情を生み、育ませたのもラーマなわけで。人として生きる上でここまで気持ちをぶつけられたら、生きた甲斐があったと言えるのではないだろうか?
 
 
本当に凄いのは知識の倉庫たる知識モジュールに入ったあと。なにこれ、凄い。
広大な宇宙の始まり、世界の概念。クラークの考えはここに集結していました。むしろこれを読んで、「わたし、ここを読むのを待っていたんだ」とすら思ってしまいました。
わたしは神様の力とかは信じていませんが、神様の存在と運命は信じています。やっぱり、世界とか宇宙とか……一言で語ることができないぐらい。ここを読んでやっぱりこれはクラークの考えた話だったんだなと思いました。リーはクラークの考え全てを活かしきれたわけではなかったけれど、2人の力って凄い。
 
 
ニコルに対してはお疲れ様の一言に尽きます。物凄い量の出来事でショートしそうになりながらも、友人たち、子どもたち、1番の理解者リチャードと自分の信念を持って生きてきました。心残りもたくさんあったと思うけど幸せな気持ちで最期を迎えられて本当に良かった。わたしも理解できることは幸せだと思える人生を送りたい。 
 
 
壮大な宇宙叙事詩にしてニコルの大河小説、ついに完結! 「宇宙のランデブー 4・下」でした(・∀・)/
次はチャンドラー、再び脚本です(*^o^*)/~