尾けられ、殴られ、酒の匂いを漂わせながら、事件を追う。
◇トライ・ザ・ガール◇ -Try the Girl and Other Stories-
レイモンド・チャンドラー 木村次郎・他 訳
すべて当代一流の翻訳者による新訳で、チャンドラーの全中短篇を発表年代順に収録する画期的全集の第2巻。本書には1936年から37年にかけて発表された7篇を収録する。『さらば愛しき女よ』の原型となった表題作と「犬が好きだった男」、『大いなる眠り』に組み入れられた「カーテン」を長篇版と比較するのも一興だろう。また、のちに主人公がフィリップ・マーロウに変更された「金魚」も見逃せない。
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1.シラノの拳銃
(Guns at Cyrano's)
……テッド・カーマディは自分の住むホテルで足早に逃げる男とその男に殴られた女に遭遇する。どうやら彼女のボーイフレンドのボクサーに八百長をしかけて……
2.犬が好きだった男
(The Man Who Liked Dog)
……犬と姪御を探してほしいと依頼されたカーマディ。その犬の手がかりはつかめたが、その男は死んでしまう。カーマディは殴られて薬漬け寸前になる。裏にはお尋ね者の強盗の存在が……
3.ヌーン街で拾ったもの
(Pickup on Noon Street)
……麻薬取締課の操作官ピート・アングリッチがヌーン街の住人でない女に請われて拾ったもの。ピートは女を追ってクラブに行くが、そこで再び厄介ごとに巻き込まれることになる!
4.金魚
(Goldfish)
……かつてサイプという男に盗まれて以来行方の知れないレアンダー真珠。マーロウの友人キャシーは刑務所で一緒だった男からその真珠の在り処の手がかりを掴んだ。マーロウはその情報提供者のところに行くが、彼は足に火傷を追って死んでいた……
5.カーテン
(The Curtain)
……1組の男女ーーーダド・オマラとモナ・メサヴィが失踪した。そのことをカーマディに教えてくれたラリーは遺体で見つかる。カーマディは男ダドの義理の父親ウィンズロー将軍のところに赴く。果たして男女はどこに?
6.トライ・ザ・ガール
(Try the Girl)
……カーマディはそこにいた。というだけの理由で大男スティーヴ・スカラの連れになってしまう。スティーヴは店がまだ白人専用だった時、働いていたビューラという女を探していた。しかしスティーヴはまたも殺人を犯し、逃亡。カーマディはスティーヴとビューラの両方を追う。
7.翡翠
(Mandarin's Jade)
……ダルマスはリンドリー・ポールから強盗に盗まれた翡翠の首飾りを買い戻すための護衛を依頼される。しかしダルマスは取引場所で殴られ、ポールは滅多殺しにされる。ダルマスは偶然助けてくれた新聞記者キャロルと事件を追う!?
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「トライ・ザ・ガール」です(・∀・)
前回言い忘れましたが、本当は間に「湖中の女」を読むつもりでした。でも村上春樹訳では出ていないし(だからずっとチャンドラーに行けなかったのもある)、すっ飛ばしました。このまま「プードル・スプリングス物語」に行きます。新訳が出たらもちろん読みますよ。
チャンドラー短篇集第2巻、またも長編作の元ネタになった作品たちも収録されています。
主人公はマーロウの他にテッド・カーマディ、カーマディ、ジョン・ダルマスがいます。
「え、カーマディ、カーマディって同一人物じゃないの?」
それが違うんですよねぇ。非常に紛らわしい← この2人のうち、ファーストネイムのない方が後々マーロウの原型になります。他にもピート、ダルマスが登場しますが、ピートはともかく、ダルマスはカーマディと同じといって差し支え無いと思います。
それにしても本当に酒と暴力に満ちた世界だ……大体ぶん殴られたり、監禁されたり、銃を発泡したりと物騒です。V.Iはこんな世界生きているのか……
「トライ・ザ・ガール」でした(・∀・)/
次はクロフツ、「見えない男」です(*^o^*)/~