レイモンド・チャンドラー No.2◇さよなら、愛しい人◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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殺人を犯しながらも昔の恋人を探す大男。2人の人間の死との繋がりは? その繋がりが見えた時ーーー

 
 
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◇さよなら、愛しい人◇ -Farewell,My Lovely-
レイモンド・チャンドラー 村上春樹 訳
 
 
「ヴェルマはそこで歌っていた。赤毛でなあ。レースのついた下着みたいに可愛らしかったぜ。俺たちは夫婦になろうって話してたんだが、そこで俺はハメられちまった……」 刑務所から出所したばかりの大男、へら鹿(ムース)マロイは、八年前に別れた恋人ヴェルマを探しに黒人街の酒場にやってきた。しかし、そこで激情に駆られ殺人を犯してしまう。偶然、現場に居合わせた私立探偵フィリップ・マーロウは、行方をくらましたマロイと女を探して紫煙たちこめる夜の酒場をさまよう。狂おしいほど一途な愛を待ち受ける哀しい結末とは? 読書界に旋風を巻き起こした『ロング・グッドバイ』につづき、チャンドラーの代表作『さらば愛しき女よ』を村上春樹が新訳した話題作。 
 
 
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殺人事件の瞬間に居合わせてしまったマーロウ。殺した男は大男のへら鹿(ムース)マロイ。昔の恋人ヴェルマを探しにムショからまっすぐ黒人街にやってきたのだ。そこで揉み合いになり、衝動的に相手を殺してしまったのだ。
 
 
マロイとそのヴェルマが働いていたその〈フロリアンズ〉は当時は白人専用だった。経営者が変わったのだ。マーロウは当時の経営者の妻だったミセス・フロリアンを尋ねるが、ヴェルマは死んだと告げられる。
 
 
その後、マーロウは依頼を受ける。高価な宝石飾りを奪ったギャングから買い戻すための護衛の仕事。ところが、その交渉場所でブラック・ジャックを受け、その依頼人マリオットまで殺されてしまう。
 
 
マリオット殺しとマロイ探しは意外な線で繋がっていた。夜の占場、水上タクシー、酒場……夜の裏世界を彷徨い歩くマーロウが見た真実とは?
 
 
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「さよなら、愛しい人」です(・∀・)
 
 
チャンドラー&マーロウ、2冊目です。初のハードボイルドどっぷり&村上春樹の香り漂う郷愁← に今日も挑みます。
 
 
今回は2つの事件が意外な共通点を持っているパターンです。今まで読んできたミステリーだと王道ですね。
 
 
マーロウのアウトローな言動やそれを受け止める側の会話に目が行きがちなので解決編にいざ行き着くと頭の中でそんなこと考えていたのか!と驚く羽目になります。ハードボイルドってみんなそうなんでしょうか? ハメットも? パーカーも? パレツキーも?
 
 
本書の主役はへら鹿マロイ。刑務所から出て最初にしたことは恋人を探すこと。殺人を犯しても逃亡しても、後ろ暗い男に匿われても、彼はヴェルマのことを考えていた。
なのに結末がこれとは。なんて哀しいんだろう。最後の最後で糧にしたものの裏切りに気づくなんて。しかしそれでもマロイは最期までヴェルマのことを考えていたのだろう。確かにやりきれない話だ。
またマロイ以外にも謎の霊能力者アムサーや暗黒街のボス、ブルーネット、マーロウを助けるレッド、お節介焼き婆さんなど印象的なキャラばかりです。レッドは最後苦労が報われるし、良かった。
 
 
今回も米国の夜と泥の世界の実態をたっぷりと見せられました。暗黒街のボスとかアル・カポネかよ!← 舞台になったベイ・シティーはサンタモニカがモデルですが、なかなか刺激的な都市です。さすがロサンゼルス、さすがカリフォルニア。一歩深入りすればクレイジーの域です←
 
 
「さよなら、愛しい人」でした(・∀・)/
次はクロフツ、「山師タラント」です(*^o^*)/~