F・W・クロフツ No.23◇フレンチ警部の多忙な休暇◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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休暇は賭博問題と殺人事件で大忙し! フレンチ警部の波瀾万丈な海の旅!

 
 
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◇フレンチ警部の多忙な休暇◇ -Fatal Venture-
F・W・クロフツ 中村能三 訳
 
 
旅行社の社員ハリー・モリソンは、ある男から豪華船を用いたイギリス列島巡航の事業計画を聞かされ、協力を申し出る。紆余曲折の末、賭博室を設けた観光船エレニーク号がアイルランド沿岸の名所巡りを開始した。だが穏やかな航海は、モリソンが船主の死体を発見したことで終わり、事件捜査にフレンチ首席警部が名乗りをあげる。アリバイ・トリックの妙で読者を唸らせる傑作長編。
 
 
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旅行会社に勤めるモリスンはひょんなことから知り合ったブリストウという弁護士から列島を巡回する観光船の計画を聞かされる。モリスンはこれに乗り気になり、協力を申し出る。
 
 
2人は出資してくれる実業家ストットと共に巡航観光船の計画を進める。他社に盗み聞きされて出し抜かれそうになったり、当初はなかった賭博場がついて船の国籍を変えざるを得なかったりと多少すったもんだがあったが、なんとか観光船エレニーク号が完成し、事業は早速スタートする。
 
 
巡航観光船は上手くいっていたが、モリスンは傲慢なところのあるストットに嫌気がさしてくる。そんな中、ストットの遺体を発見してしまう。しかし彼がストットを嫌悪しているのはみんな知っている。悪口を言うところも見られている。疑われるかもしれない……モリスンは逃げ出し、この事に口を噤んでしまう。
 
 
一方、エレニーク号の賭博場は外国で揶揄されるほど無視できなくなっていた。困り果てた上層部は警察官をエレニーク号に潜り込ませることにした。その人物はフォレスター夫妻。ーーー我らがフレンチ警部夫妻! 賭博問題から殺人へ、休暇は一気に忙しくなった!
 
 
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「フレンチ警部の多忙な休暇」です(・∀・)
 
 
フレンチ警部、潜入捜査の巻です。
まさか第1部から登場しているとは……! 登場人物紹介で「あれ、なんでフォレスター夫妻の紹介がないんだろう……」とは思いましたが、そこが伏線だった!← しかし捜査のためとは言え、フレンチ警部に御誂え向きの案件ではないですか! 奥さんも仲介役を勤めるし、いい働きをしています。
 
 
賭博問題で乗り込んだはずなのに殺人事件の調査に変更になるというまさかのパターンですが、今回のフレンチ警部は冴えています。自信満々だった自説が成り立たなくなって万事休すのところはありましたが、最後の最後で蹴躓いた訳ではないし、堂々と犯人逮捕まで漕ぎ着けました。良かった、良かった。肝心の賭博問題に関しては人間の良心の勝ちでした。
 
 
今回の事業は今までと違って実現可能にして、実際に展開しています。動くホテルならぬ巡航観光船は良かったのに賭博場を入れた途端に翳りが……もうこの時点で「あ、きっとこれが動機で事件が始まるわー」と感づきました。
 
 
モリスンについてはそこで口を噤んだら、危険フラグだよと思いました。でも最後、良かった良かった。ブリストウとストットが一筋ではいかないキャラなのが、クロフツ作品を読んでいて「おっ」と思いました。
 
 
「フレンチ警部の多忙な休暇」でした(・∀・)/
次はクラーク、初の合作です(*^o^*)/~!