坂口安吾 No.1◇堕落論◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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人の救いと、生きる道はただ1つ。「堕ちる」ことーーー

 
 
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◇堕落論◇
坂口安吾
 
 
単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい――誰もが無頼派と呼んで怪しまぬ安吾は、誰よりも冷徹に時代をねめつけ、誰よりも自由に歴史を嗤い、そして誰よりも言葉について文学について疑い続けた作家だった。どうしても書かねばならぬことを、ただその必要にのみ応じて書きつくすという強靱な意志の軌跡を、新たな視点と詳細な年譜によって辿る決定版評論集。
 
 
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1.今後の寺院生活に対する私考
 
 
2.FALCEに就て
 
 
3.文学のふるさと
 
 
4.日本文化私観
 
 
5.芸道地に堕つ
 
 
6.堕落論
 
 
7.天皇小論
 
 
8.続堕落論
 
 
9.特攻隊に捧ぐ
 
 
10.教祖の文学
 
 
11.太宰治情死考
 
 
12.戦争論
 
 
13.ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格
 
 
14.飛騨・高山の抹殺
 
 
15.歴史探偵方法論
 
 
16.道鏡童子
 
 
17.安吾下田外史
 
 
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約1ヶ月ぶりの「文豪ストレイドッグス制覇計画」です(・∀・) 今回お送りするのはーーー
 
 
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「坂口安吾」です。
きっちりとしたスーツ、ボディガード付き、さらに丁寧な言葉遣い。「いきなりカレー100人前出前注文する」、「ヒ○ポン中毒で病院へ」、「喧嘩で留置所行き」等々をやらかした史実の「坂口安吾」とは真逆のキャラクターです。
 
 
少々見辛いですが、安吾は公務員でして、内務省で働いています。内務省には秘密存在である「異能特務課」があり、そこで全国の異能力者を把握しています。この辺は小説やアニメの方が詳しいかもしれません。どちらも未読・未聴なので……
 
 
安吾はコミックよりも小説「太宰治と黒の時代」で大きな存在感を発揮します。安吾はスパイとしてポートマフィアにも籍を置き、立場を超えて太宰さんともう1人ーーー史実で「無頼派3人組」と名高いーーー織田作之助と友人でしたが、安吾がとった行動が間接的に織田作の死に繋がり、太宰さんには恨まれています。 
 
 
ーーーとまぁ、一筋ではいかないキャラクターです。史実の坂口安吾の考え方と一緒。一言では説明できない、表には出ないが、重要な立ち位置にいる……安吾はそんな役割の人です。
 
 
実はわたしは安吾に鏡花ちゃんのことで不信感を持っています。というか異能特務課全体に。
11巻で鏡花ちゃんの過去が明らかになります。異能特務課の暗殺者だったご両親の死、異能力者の奇襲、不完全な異能の譲渡。これらが起こったのは3年前のことです。
ここで3巻を読み直してみると、鏡花ちゃんがポートマフィアに拾われたのは半年前です。つまり6ヶ月前です。
 
 
「どうして異能特務課は3年前、泉鏡花を引き取らなかったのか?」
ご両親は内務省側の人間です。父親はフリーランスの暗殺者なのでともかく、母親は異能力者。異能の譲渡も内務省の人間に教わっているし、安吾のように課の役人だった可能性があります。両親の存在を表沙汰にできないならなおさら異能【夜叉白雪】を抱えた彼女を保護しないというのはおかしいと思うんですよ。だって鏡花ちゃんが世間で野放しになっていたら異能の露見も時間の問題ですからね。不完全ならなおさら保護してなんとか打開策を考えるべきではなかったでしょうか。
 
 
鏡花ちゃんが必死に異能特務課の目を掻い潜って逃げたとしても見つけられないなんて職務怠慢としか思えないし、結論としては異能特務課は泉鏡花を見捨てた。としか考えられないんですよね。
 
 
【夜叉白雪】は殺戮の異能。そんなのが表沙汰に出たら異能力者の存在が危険視されますし、異能特務課も暗殺者の存在を是認していたことになります。なによりもそれが1番避けたいことでしょう。だって表向きは「無い」組織なわけですから。特務課にとって泉鏡花を引き取らないということは暗殺者の存在を無いことにするのと同義だったのです。
 
 
と、考えると異能特務課はもしかしたら思ったよりも伏魔殿なのかもしれない……と思うようになり、内務省、異能特務課にいやーな目を向けるようになったわけです。これからのコミックや小説を読めばまた考えは変わるかもしれませんが、今はそんなところで。はい。
 
 
今のところ敦くんとは会っていませんが、今までの混乱の中心が敦くんと知ったら安吾は非常に手強い相手になるかと思います。もしかしたら異能特務課は問題の「本」が何なのかすら知っている可能性もあります。
 
 
そんな安吾の異能力は【堕落論】。安吾の代表作ですね。異能力の詳細は不明ですが、太宰さんのマフィアの経歴を洗浄したという供述から【その人物の犯罪歴等を真っ白にする】ような事務処理的な異能力なのかもしれません。
 
 
それじゃあ、行ってみましょう。「堕落論」。
坂口安吾は本名を坂口「炳五」といい、評論以外にも純文学、歴史小説、推理小説等々多彩な作家でした。推理小説の方は「不連続殺人事件」が評価が高く、当時江戸川乱歩主催の探偵作家クラブ賞(今の日本推理作家協会賞)を受賞しました。
 
 
江戸川乱歩で思い出しました。安吾は推理小説が好きで江戸川乱歩も例に漏れず大好きでしたが、「悪霊」の連載を勝手に中断されたのをきっかけにアンチに走ったそうです。そうそう、安吾の先の作品はエラリーよろしく「読者への挑戦」がついていて、それは主に江戸川乱歩宛だったそうで。「文スト」でももしかしたら乱歩さんと因縁が!?
 
 
「堕落論」は戦後直後に発表された随筆で、堕ちることは人間の唯一の救いであると説き、その中に本来の意味があるのだと説いています。
つまりここで言う「堕ちる」は「人間本来の姿に還る」ということです。
安吾は偉大で卑小、救いがなくってこの上なく孤独な人間ーーー日本人を非常に冷徹に見ています。「天皇小論」は今現在、再読されるべきだと思います。絶対に。15、16は古代史と古事記、日本書紀を熟知するとより面白いと思われます。自分の知識不足が哀しい……
 
 
全体的に安吾は疑いを持ってして世界を、歴史を、文学を、人間を睨め付けています。戦争という生と死の狭間の中で安吾は合理的に説明できないことがあることを発見し、その中で人間の本来の姿とは? と説い続けたのです。 
 
 
「堕落論」でした(・∀・)/
次回「文豪ストレイドッグス制覇計画」、《組合》から逃れる敦と鏡花に巨大な魔の手が立ち塞がる。その魔の手はやがては横浜を決定的に壊滅させるかもーーー!?
で、通常の方は2061年ーーーではなく、19世紀のロンドンに行きます(*^o^*)/~←