その船の爆発には悪意と犯罪の匂いが有りはしまいか? フレンチ警部、失踪した探偵の足跡を追う!
◇ヴォスパーの遭難◇ -The Loss of Jane Vosper-
F・W・クロフツ 鈴木幸夫 訳
そのしけの夜、大西洋上の貨物船ヴォスパー号に大爆発が起った。船は大波と船体の破損に抗すすべもなく、大海に呑まれて行った─数週間後、海事裁判が開かれたが、爆発原因は解明されず、保険支払いはほぼ確実となった。しかし、状況を一変させる出来事が起った。保険詐欺を疑い、事件を探りつつ失踪した事故調査員の他殺体を、フレンチ警部が発見したのだ。死んだ男はいったい何をつかんでいたのか? 一見平凡な海難事故から、詐欺、殺人へと急展開する一連の事件を精緻な構成で描く本格力作の改訳決定版
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貨物船ヴォスパー号が突然爆発した。船は結局沈没してしまい、保険金が支払われる……はずであるが、海上保険会社のメンバーは不景気なのもあるが、人為的なものを疑う。まさか……?
裁判が開かれるが、原因は分からない。保険会社私立探偵のサットンは保険金詐欺を疑い、調査を始めるが、そのサットンが姿を消してしまう。サットンを知っていたフレンチ警部はサットンを探しながら、彼が調査したこのヴォスパー号事件の調査を辿っていくことにするが……
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「ヴォスパー号の遭難」です(・∀・)
フレンチ警部シリーズ初の保険金詐欺です。前半はただでさえ不景気なのに、事件濃厚な物件に保険金払いたくない! という会社の嘆きです。保険金詐欺+探偵ときいて漫画「マスター・キートン」を思い出しました。あの漫画は名作だと思います。
後半はその行方不明になった探偵サットンの調査の足跡を追うフレンチ警部の奮闘です。行方不明になったサットンを追うには彼の調査の足跡を辿ればいいわけです。そうすればサットンの行方も自ずと分かる……
本作はフレンチ警部をあまり出さずにサットンを主役にした方が面白かったと思います。他人の足跡を歩く、今回のフレンチ警部はフレンチ警部らしさがなくってつまらないというか……
本書は読んでいて保険金詐欺事件に失踪事件が並走して、それが殺人事件に様変わりし、裏にはさらなる事件が隠れていたわけですが、フレンチ警部、どうして気が付かなかった?
いや、読み進めるにつれて薄々と個人でこれを露見せずにやりきるのは不可能なんじゃないか? と思ったんです。わたしでさえ怪しいんじゃないかと思っていたのに警部、どうしちゃったの……やっぱりサットンが何を突き止めたのか? に頭が回りすぎてフレンチ警部独自の考えが湧いてこなかったんでしょうか。そこが大いに不服なのでやっぱり前述した通りですよ←
「ヴォスパー号の遭難」でした(・∀・)/
次はクラーク、「楽園の泉」です(*^o^*)/~