彼女が指し示した「顔」は誰の、どの「顔」かーーー? 犯罪追及と私情に板挟みになるエラリー!
◇顔◇ -Face to Face-
エラリー・クイーン 尾坂力 訳
数奇に満ち波瀾に富んだ生涯をおくってきた歌手グローリーは、その激情と哀愁のこもった歌声で一世を風靡し、巨万の富を築いた。そして現在は、栄光の思い出をかみしめながら、自叙伝の執筆にとりかかっていた。そんなある日、彼女が何者かに心臓を撃ち抜かれた死体となって発見された。死に際に残された文字は、たった一語─「顔」。驚くべき告白とダイイング・メッセージの謎! エラリイ・クイーンの名推理が光る。
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古い年と新しい年の境目。エラリーはハリー・バックという元ロンドン警視庁警官の私立探偵と意気投合とした。しかもなんの縁か、ハリーはリチャード・クイーン警視に呼び戻されたところだった。
パパがなんで、また? 訝るエラリーはメモ書き通りにあるところに電話する。電話に出たのはロバータという女性で早速クイーン家のアパートへ。
ロバータは厄介ごとに巻き込まれていた。半年以上前、一世を風靡した歌手グローリー・ギルドの夫アーマンドにギルドの殺害を依頼されたと言うのだ。30日の日、アーマンドはなぜかロバータを尋ねたが、その日、ギルドはとうとう殺されたのだ!
早速クイーン警視の調査に首を突っ込むエラリー。グローリーはダイイング・メッセージを残していた。書かれていたのはたった一言。
「face」
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「顔」です(・∀・)
「ドグラ・マグラ」読んだ後だからかなり心がホッとしていました←
ダイイング・メッセージは犯人を示す大事な手がかりですが、逆にダイイング・メッセージに翻弄されているエラリー←
むしろ、真実からどんどん遠ざかっている感じが……! しかも意味が分かったところで「そこで犯人、分からないのか!?」と突っ込みたくなりました。
いやー、キャラクターについてはアーマンドがクソ過ぎて開いた口が塞がらないぃ! いやー、こんな奴いるんだねぇ。こいつに関しては最後も安定のアーマンドって感じでおとなしく裁きを受けろや。
2人のヒロイン、ロバータとロレットもなかなか強烈な個性を持っています。超際立ったキャラクターです。
あとハリー! スコットランド人のハードボイルド風探偵。アウトローだけど真面目な頑固者。不器用なところがハリーの魅力。それなのに……
エラリーが最後で無慈悲だった。
よりによってそこで真実を明かすのか!? 確かに止めたかった気持ちは分かるけど、エラリー、残酷だよ……ハリー……ライツヴィルでの事件並に残酷だ……最後、立ち尽くすエラリーも傷つくところが切ない……
エラリーもどんどん傷ついて、歳を取って……パパにそっと慰められて……エラリーが初めて小さな子どもに見えました。エラリーがどんどん人間らしくなっていく……
「顔」でした(・∀・)/
次はクロフツ〜……の前に作家なら誰もが悩むあの問題に突っ込もうと思います(*^o^*)/~