アントニオ・G・イトゥルベ◇アウシュヴィッツの図書係◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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死と地獄と隣り合わせのアウシュビッツで極秘存在の本を守るディタは本の世界で生きる力、諦めない力を得る!

 
 
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◇アウシュヴィッツの図書係◇ -La Bibliontecaria de Auschwitz-
アントニオ・G・イトゥルベ 小原京子 訳
 
 
アウシュヴィッツ強制収容所に、囚人たちによってひっそりと作られた“学校”。ここには8冊だけの秘密の“図書館”がある。その図書係に指名されたのは14歳の少女ディタ。本の所持が禁じられているなか、少女は命の危険も顧みず、服の下に本を隠し持つ。収容所という地獄にあって、ディタは屈することなく、生きる意欲、読書する意欲を失わない。その懸命な姿を通じて、本が与えてくれる“生きる力”をもう一度信じたくなる、感涙必至の大作!
 
 
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第二次世界大戦時。アウシュヴィッツ収容所の31号棟には密かに学校があった。その中でたくさんの子どもたちが生き、学んだ。
 
 
その学校には極秘存在があった。本だ。図書係に任命された少女ディタは毎日違う場所に本を隠す極秘任務を担っていた。
 
 
ーーー「なぜ家族やその子どもたちが殺されずに生きている?」という疑問につきまとわれても、ディタの英雄たるヒルシュが死んでも、人間の存在を根本的に覆されても、家族や友達を亡くしても、8冊ーーー8冊だけの本がディタに生きる意欲も力も希望も与えてくれた。
 
 
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「アウシュヴィッツの図書係」です(・∀・)
 
 
たまには真面目な本を1冊。本当は読むつもりではなかったのですが、父が「良かった」と言うのと図書館というのに縁を感じて読んだ1冊です。
 
 
改めて本の力を思い知りました。
アウシュヴィッツ収容所といえばナチスによる史上最悪の虐殺が行われた場所です。その中で1人の少女に生きる意欲を与えてくれた、別の世界に連れて行ってくれた本の存在がどれだけ尊いかを思い知らされます。
 
 
本には力があります。誰かの希望になったり、誰かを救ったり、誰かを諭したり。本は誰かの心の拠り所になれるのです。
極限状態にこそ、本は力を発揮します。本に書かれた誰かの考え、想いは読んだ人を人間たらしめるのです。
本は偉大だ。なくてはならない。誰かの生きる力になるために本はでき、それを記すために文字と絵でき、それを伝えるために人間はできたのだ。
いつか本は紙媒体ではなくなるかもしれない。誰かの生きる力の寄る辺になるという役割さえ果たせればそれでも構わないのだ!
 
 
図書係に任命されたディタの勇気と読んだ本を思い出すところに泣きそうになりました。ディタの本に対する思いがひしひしと伝わってきて、胸を衝かれます。
 
 
本書は一部を除いて実話です。図書係ディタは実在の人物です。解放後、収容所で教師だったオータと再会して結婚し、イスラエルに移住したそうです。オータは家族収容所を舞台にした「塗られた壁」を書きました。
本書の終わりに実在の登場人物のその後が書かれています。読めば戦争によって踏みにじられた真実に触れることができます。
 
 
あの「地獄」の一言では簡単すぎるほど悲惨だったあの場所で図書係ディタが実在し、囚人たちの交流や"学校"があり、その中でディタやマルギット、ヒルシュ、オータたちが生きて、抵抗したのだと思ったら泣きそうになりました。電車の中だったので堪えましたが、涙が溢れる寸前でした。
 
 
また収容者と恋に落ちたSSや収容者登録係の抵抗と脱出がとても悲しい。戦争はまず真実を奪い、人間性を奪う。そして奪われたものを取り返すことも肯定することも許されない。
 
 
第二次世界大戦という狂気の真実を一欠片でも知ることができて本当に良かった。歴史を鑑みること無しに未来を創ることはできないと思うから。
 
 
「アウシュヴィッツの図書係」でした(・∀・)/
次は通常運転、クラーク、10の世界を巡ります(*^o^*)/~