ジョン・スタインベック No.1◇怒りの葡萄・上巻◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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 土地は砂嵐と資本主義的農業によって失われ、奪われ、死んでいく。ジョード一家も土地と故郷を捨て、新天地カリフォルニアを目指す。
 
 
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◇怒りの葡萄・上巻◇ -The Grapes of Wrath-
ジョン・スタインベック 黒原敏行 訳
 
 
一九三〇年代、アメリカ中西部の広大な農地は厳しい日照りと砂嵐に見舞われた。折からの大恐慌に疲弊していた多くの農民たちは、土地を失い、貧しい流浪の民となった。オクラホマの小作農ジョード一家もまた、新天地カリフォルニアをめざし旅の途につくが……。ノーベル賞作家の代表作、完全新訳版   
 
 
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1930年代のオクラホマ。激しい日照りと砂嵐で広大な農地は作物が育たなくなる。その上、資本主義が台頭し、農地が次々と農業運営会社と機械化に吸収されていった。数多の農民たちが土地を失い、流転流浪の運命に晒されることになった。
 
 
ジョード一家もその1つだった。一家はカリフォルニアに新しい働き口を求め、移住を決意する。折良く仮釈放されたトムも帰って来、一家はカリフォルニアを目指す。移住者たちと結束したり、土地の不法侵入を監視する保安官たちに警戒したり、家族の死と別離を経験してーーー
 
 
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「文豪ストレイドッグス制覇計画」、6巻に入りました〜\(^_^)/ 12巻が4月4日に出るので半分制覇したことになります。ヒャッホー← 12巻はどんな顛末になって、どんな異能力者が出て来るのか今から楽しみです。ドストエフスキーが出たんだからロシア文豪来るか!?
 
 
12巻は置いておいて、6巻は常に先手必勝を謳う森さんの指示の下、ポートマフィアは探偵社と《組合》に二枚舌を使って両者激突を仕掛けます。確実にどちらかは負けるわけでそうなれば敵は減るわけです。なんて狡猾なんだ。さすがはマフィア!
 
 
ポートマフィアが探偵社を売ったせいで事務員ナオミちゃんと春野さんが危険に晒されます。2人を人質に取ろうとしたのがこちらの彼。
 
 
 
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「ジョン・スタインベック」です。
写真はまさに異能【怒りの葡萄】を使う瞬間です。ナイフで身体に傷口を作り、そこから葡萄の種を仕込むと写真のように蔓がのびます。【その蔓を樹木と繋げて感覚を共有したり、操ったりできる】異能です。森の中で闘ってはいけませんね。盗み聞きもできるので木の下で内緒話はしない方がいいです(笑)
 
 
《組合》活動時はラヴクラフトと一緒に行動します。ラヴクラフトも同じタイミングで初登場しますが、ラヴクラフトは8巻で本領発揮するのでそこまでお預けです← いや、ほんとに。
 
 
このスタインベックも「怒りの葡萄」のトムと同様、大家族で貧しく、家族を養うために《組合》に入りました。故に金がなんぼ!のフィッツジェラルドのことは大っ嫌いです。
↑これは本書を読むとよく分かります。合うわけない。
 
 
「怒りの葡萄」は資本主義の名の下、故郷であり命であり矜持であった土地を失い、流浪の民になった人たちの逆境と力強さを書いた話です。大規模経営と管理の下、小さい個人を全否定し、歴史を顧みず、土地に愛着も持たない資本主義の犠牲になった人たちを書いたスタインベックとそこからできた「文スト」スタインベックが資本主義の成功者フィッツジェラルドと合うわけない!大事なことなので2度言った。
 
 
「怒りの葡萄」はアメリカ経済の要である資本主義の批判も告発もしていたので発表当時の1939年、州によっては発禁処分になったこともあったそうな。これによって「図書館の権利宣言」が出来たそうな。なんてまぁ。
 
 
スタインベックも最初はフィッツジェラルドが全て失い、何か変わるかも、金第一じゃなくなるかもと思いましたが、何も変わらないことに失望し、敵となることを誓います。これらは『本』と約定の地絡みでどう関わるのか。サブストーリーがあると面白いですよね。
 
 
本書はノーベル文学賞のきっかけにもなった文学で世界の真理が詰まっています。不条理という名前の真理。個人の否定、組織は人間を離れて機械化する。資本主義は個人という名前の小ささを否定する。歴史も個人も感情も機械化と組織化がそっくり呑み込み、その尊厳をも蹂躙する。個人的に7巻のスタインベックの言葉は不条理という名前の世界の真理をあらわすに一番ふさわしい言葉だと思っています。
 
そしてとにかく金、金、金! 資本主義だねぇ。こういうところもスタインベックの資本主義嫌いが見えます。
 
 
本書は死と離別を乗り越え、なんとかカリフォルニアにたどり着くところで終わります。
ジョード一家の願いは叶うのか? いざ、下巻へ(*^o^*)/~