ピエール・ルメートル No.1◇その女アレックス◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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拉致監禁事件の「その後」に本当の犯罪が暴かれる。

 
 
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◇その女アレックス◇ -Alex-
ピエール・ルメートル 橘明美 訳
 
 
おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。
 
 
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日常は崩壊した。アレックスは誘拐された。暴力を振るわれ、檻に監禁され、はっきりとした殺意を向けられ衰弱の一途を辿る……
 
 
カミーユ・ヴェルーヴェン警部は女性誘拐事件を指揮することになった。先の事件に対する恐怖から拒否するが、上司のル・グランに言われては返す言葉がない。捜査を開始するが、手がかりが少なく、捜査は難航する。
 
 
必ず生きた彼女を救い出してみせるーーー妻イレーヌを誘拐され、殺されたカミーユはついに誘拐犯を特定する。ところが、犯人は自殺してしまう。しかも監禁された場所に彼女はいない……
 
 
警察にも届けず、彼女はどこに行ったのか? 素性も分からない彼女の背後に連続硫酸殺人事件がちらつく……
 
 
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「その女アレックス」 です(・∀・)
 
 
フランス現代ミステリです。クイーンには再三振られたので前々からめっちゃ気になっていた本書に行き着きました。
 
 
フランスというとーーーわたしが思いつくのはルブランとメグレ警視のシムノンですね← 現代では「ノワール」ものーーーつまり犯罪小説の中で特に人間心理の暗部を描いたジャンルが多くなっています。
 
 
本書はカミーユ・ヴェルーヴェン警部という低身長の男が主人公。ちなみに飼っている猫も小さい← 妻と妊娠8ヶ月の胎児を誘拐の末、殺されてしまったという非常に大きく、癒えない傷を持っています。シリーズ化されていて、本書は第2作目です。
作品読んでシリーズ一覧を見ると「え、まさか!?」って感じですが、もうしょうがない。発売当初の気持ちで読むことにしました←ヤケクソ。
 
 
さて、本書はアレックスという女性がいきなり誘拐されて、今度こそ生きて救う!と誓うカミーユたちが奮闘する話です。…………と思ったら。
ちょっと待て。どうなってる!?
 
 
「あなたの予想は全て裏切られる」
裏切られたよ!!
アレックスという女そのものがです。誘拐事件なんて序章の序章。本当の謎はその後からだった!! 
 
 
1部、2部、3部ごとアレックスが全く違った顔を見せます。それを見てわたしたちは「こうか!? それともああか!?」と色々予想をたてるのですが、それをことごとく裏切るこの展開……! 嘘だろ……! ルメートルさん、凄すぎる。
いや、往復ビンタくらって倒れて起き上がったら別の世界に居た。しかしその別の世界も偽物だったぐらいの衝撃を与えましたよ、この作品。
 
 
カミーユ警部は金持ちの部下ルイとドケチで人がくれるもので生きてるアルマンと自分とは対照的にデカい上司ル・グランと一緒に働いています。この4人の掛け合いがなかったらこの話も本当に重い。
今の海外ミステリって本当に重いなぁ……キャラの個性や主人公のプライベート、気の置けない人との憎まれ口とかツッコミのようにちょっと気が抜けるところがなかったら精神的に死にます。「特捜部Q」もそうです。「湿地」はうろ覚えですが、何から何まで重くてそれも北欧ミステリ無理! と一時期思ったのが原因でした。そのうち「湿地」にも行きたいです……エーレンデュル……
 
 
そんなわけでこの話、というかシリーズ。面白かったけど続けて一気読みはちょっと無理! というわけでこのシリーズは今回みたいに読書の循環が迷走した時に読もうと思います←
 
 
「その女アレックス」でした(・∀・)/
次こそエラリー・クイーンです! やっとだよぉ〜(´□`。)