ジョン・ディクスン・カー No.18◇火刑法廷◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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「火刑法廷」で処刑された婦人毒殺魔の影が見え隠れするーーー

怪奇と推理の融合!
 
 
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◇火刑法廷◇ -The Burning Court-
ジョン・ディクスン・カー 小倉多加志 訳
 
 
編集者のエドワードは、社のドル箱作家の書き下ろし原稿を見て愕然とした。添付されている十七世紀の毒殺犯の写真は、まごうかたなく妻マリーのものだった! しかもその夜、隣人の妻にかかる毒殺容疑の噂の真相を追い、墓を暴きに出かけた彼は、妻の予言どおり、棺から死体が消失しているのを発見した……婦人毒殺魔が流行のように輩出した十七世紀と現代が妖しく交錯し、カー独特の世界を創出した第一級の怪奇ミステリ
 
 
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これは偶然なのか。それとも……?
 
 
エドワードは社の売れっ子作家クロスの原稿を見て写真の婦人毒殺魔と妻マリーの顔が瓜二つなのに愕然とした。しかも帰宅直後、その写真が抜かれ、エドワードは不信感を募らせる。
 
 
その夜、エドワードは隣人マーク・デスパードから叔父の墓を一緒に暴いてほしいと頼まれる。マークの叔父マイルズは先日胃腸炎で死んだのだが、その死が砒素による殺人である疑いが出たのだ。エドワードは件の婦人毒殺魔も砒素による毒殺を行っていたことを思い出す。
 
 
墓の中になんとマイルズの遺体はなかった。謎の電報、幽霊、極め付けはマリーの謎の失踪……
 
 
婦人毒殺魔ブランヴィリエ侯爵夫人が蘇ったのか?
 
 
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「火刑法廷」です(・∀・)
 
 
最初歴史ミステリかな? と思ったのですが、立派に舞台は現代でした(笑)
 
 
しかし中身は歴史を扱ったものである程度の知識があればより面白いです。
 
 
そんなわけで↓
 
 
17世紀のブルボン朝、ルイ14世の時、誰もかれもが毒や魔術(もどき)で人を殺そうと企む時代があった。あまりにも流行りすぎて流行りすぎて宮廷に出入りしていた貴族やルイ14世の愛妾たちまでそれにあやかっていたため、それを危ないと思ったルイ14世は犯人と認められたら即、火刑に処すことができる火刑法廷を制定した。
 
 
「火刑法廷」は17世紀のルイ14世時代に行われた処刑方法で魔女、毒殺者を処刑するために行われました。
 
 
毒殺者は魔術もどきなこともやっていたため、魔女と同格とされ、両者とも恐ろしい存在でしたし、死者を燃やすことは最大の冒涜でした。
 
 
逆に言えば「火刑に処された」という事実だけでその人が大罪を犯したと証明できたわけです。
 
 
「火刑法廷」を作るきっかけになり、フランスに毒殺ブームをもたらした人物こそ、本作でキーパーソンを果たすブランヴィリエ侯爵夫人なのです。
 
 
本作は主人公兼語り手のエドワードが妻のマリーがそのブランヴィリエ侯爵夫人に瓜二つと気付くところから始まります。
 
 
「……?(パラパラ)………………え? え、……まさか!? 」
ゾワッと鳥肌がたちました。
 
 
「意味が分かると怖い」をリアル体験しました。
 
 
まさか推理小説でこう欺かれるとは思いませんでした。
自分が信じたものを初めて疑いました。
 
 
ディクスン・カーって色々な作風を凝らして世に伝えて、恐ろしい人だと思い知らされた話でもあります。
 
 
今まで読んでも思いましたが、ディクスン・カーが後世に伝えたものって怪奇と密室だけじゃない。
そのことを思い知らされました。
 
 
「火刑法廷」でした(・∀・)/
次はアイザック・アシモフの「宇宙の小石」です(*^o^*)/~