未来のロンドン。中世都市の復活はロンドンの街を戦場にするーーー人間とは? 世界とは?
◇新ナポレオン奇譚◇ -The Napoleon of Notting Hille-
G・K・チェスタトン 高橋康也・成田久美子 訳
1904年に発表されたチェスタトンのデビュー長編小説、初の文庫化。1984年、ロンドン。人々は民主主義を捨てて、籤引きだ専制君主を選ぶようになっていたーー選ばれた国王は「古き中世都市の誇りを復活」させるべく、市ごとに城壁を築き、衛兵を配置。国王の思いつきに人々は嫌々ながら従う。だが、誇りを胸に故郷の土地買収に武力で抵抗する者が現れ、ロンドンは戦場と化す…幻想的なユーモアの中に人間の本質をえぐり出す傑作。
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「新ナポレオン奇譚」です。
原題は「ノッティングヒルのナポレオン」。読んでいるうちにこっちの方がしっくり来ます。
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1904年から80年後の1984年。英国は世襲制でもなく、民主主義でもなく、籤引きで国王を決める時代に入っていた。
その籤引きで国王になったオーベロンは「中世都市を復活」させるべく、都市ごとに城壁を築き、それぞれの衣装と紋章を造らせる。
オーベロンにとってそれは軽い思いつきだった。しかしそれを真に受けたノッティングヒル市長、アダム・ウェインが国王による土地買収に武力抵抗したことで、ロンドンは戦場と化し、アダム・ウェインを王にしたノッティングヒル帝国が誕生した!
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そんなわけで、チェスタトンもブラウン神父とお別れし、ノン・シリーズに突入しました。
本書「新ナポレオン奇譚」はそんなチェスタトン氏のデビュー作。どんな作家にもスタート地点があります←
ですが、チェスタトン氏は根っからの評論家ですね。
なるほど。分からない!!
話としては分かるんですよ。
籤引きで王様を決めるという、未来のロンドンーーーと見せかけて1904年当時そのままのーーーで、ユーモアセンスを持つ王様とその王様の冗談を真面目に受け取り、それに則って、土地を守ろうとする男の話です。
それは分かる。分かるんですが!
文章がものすごく、哲学的で難解なんだよおおおお!!
とは言え、オーベロンとアダム・ウェインの言動には人間とは? に答えられるところがあります。滑稽さも皮肉も哀しさも感じるところがあります。ーーー2人はある意味、似た者同士だからです。
とにかく、わたしはもう一度巻末の解題を読み直したいと思います←
「新ナポレオン奇譚」でした(・∀・)/
次回はフェル博士で「殺人事件とブラックユーモア!?」がテーマです(*^o^*)/~←