ブラウン神父、自らと人々の「醜聞」を分析する。
◇ブラウン神父の醜聞◇ -The Scandal of Father Brown-
G・K・チェスタトン 中村保男 訳
五人の人物が全員消失するという、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』に先んじたような、実に例のない作品「古書の呪い」をはじめ、「《ブルー》氏の追跡」、「とけない問題」、「緑の人」など、いずれもチェスタトン特有のユーモアと逆説に溢れた粒よりの傑作ぞろい! ファンには欠くことのできない重要な短編集の一つであり、ブラウン神父もの掉尾を飾る一冊。
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ついにブラウン神父の最後の説教です!
ですが、あらすじに誤字を発見してしまいましたorz 追跡が失踪になっていたのですorz
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1.ブラウン神父の醜聞
(The Scandal of Father Brown)
……ブラウン神父はたった一度、反道徳的なことに手を貸したことがある。その出来事とその理由とは?
2.手早いやつ
(The Quick One)
……東洋の狂信者と西洋の狂信者がぶつかり、西洋の狂信者ラグリーが殺された。ブラウン神父は2人がぶつかった現場に残されたウィスキー飲みーーー《手早いやつ》を見つけて欲しいと警部に頼む。
3.古書の呪い
(The Blast of the Book)
……開くと人が行方知らずになる本がまたも開かれた。今まで四人の人間を消した本は電話の向こうでも人を消してしまった。そのカラクリとは?
4.緑の人
(The Green Man)
……留守にしていた海軍提督クレイヴン卿が遺体で発見された。見つかったのは酒場《緑の人》から遠くない池だが、死因は刺殺だった。ブラウン神父は《緑の人》に恐怖を覚えるが。
5.《ブルー》氏の追跡
(The Pursuit of Mr. Blue)
……探偵マグルトンは百万長者ブルースの護衛を依頼されたが、復讐者の罠にかかって閉じ込められ、護ることができなかった。マグルトンはブラウン神父に助けを求める。
6.共産主義者の犯罪
(The Crime of the Communist)
……マンデウィル学寮で2人の男の遺体が発見された。2人はそれぞれ裕福で、直前、共産主義者クレイクンと衝突していた。容疑は当然、クレイクンにかかるが。
7.ピンの意味
(The Point of a Pin)
……サー・ヒュバード・サンドが自殺したという知らせがブラウン神父のところに舞い込んできた。先日貼られた脅迫状に怯えてのことらしい。しかし部屋着にピンがついていた頃から殺人であることに気づく。
8.とけない問題
(The Insoluble Problem)
……三件の奇妙な電話。そして殺人事件に教会批判者。三つの事柄はどう繋がり、どうとけるのか?
9.村の吸血鬼
(The Vampire of the Village)
……一年前、そこで死んだ男は妬みと噂の元になっているマントラヴァース夫人の夫だった。彼女に恋する青年は果たして乗り越えられるか。そして死んだーーー殺された男の死の真実は?
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全9編!
ついにブラウン神父、最後の説教です。
といっても最後の匂いは全然しませんが(笑)、最後です。
最初、ブラウン神父に会った時はブラウン神父その人よりも、作者チェスタトン自身の文章が難しくて難しくて苦労しました。
なんというか……推理小説を読んでいるというよりは、推理小説の姿をした評論を読んでいるみたいだと思いました。
「なにこれ、評論か?」と常々思っていましたが、チェスタトンは政治・社会評論家でもあったようで、得意技は警句と逆説。
めっちゃ、ブラウン神父です。ブラウン神父はチェスタトン自身の投影でもありました。
ブラウン神父はトリックの多さが評価されていますが、人々、精神、宗教に警句と逆説を説いた点も評価に値すると思います。かなり難しいですが……という文と言葉が難解なんだよ!←
この地球から人々、精神、宗教がなくならない限り、ブラウン神父はこれからも黒帽子と蝙蝠傘を手に事件を調査し、警句と逆説を説くでしょう!
フランボウもてんで出てこないと思ったけど、最後、出てきて良かった! スペインの家族とお幸せに!
というわけでブラウン神父はこれにて終了(*^o^*)/~!
次のチェスタトンからはチェスタトン著作のノンシリーズに入ります!
そしてH.M卿は10の空のティーカップと孔雀と殺人のグラン・ギニョールなお茶会です←